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〃サンパウロ州最良市長〃宮下ニウセさん=現職唯一、初の日系女性市長=セッテ・バーラスで辣腕発揮

ニッケイ新聞 2012年7月14日付け

 聖南西セッテ・バーラス市で、約1万3千人の市民を束ねるのは二世の宮下ニウセ・アヤコ市長(62、PR=共和党)だ。本紙の調査で、ブラジルで初の日系女性市長であることもわかった。今年4月、サンパウロ州議員協会(OPESP)が主宰するトップ・デスタッキ賞の市長部門に輝き、「州で最も良い市長」に選ばれる辣腕ぶりを発揮している。「この4年間で、市はとてもよくなった」と自信をもって第一期を振り返った宮下市長に、今年の市長選に向けた意気込みを聞いた。

 2008年、得票率46%で初当選し、全国で唯一の日系女性市長となった。今年10月の選挙では他に5候補が立候補する激戦となる見込みだが、「プロジェクトを継続していく。まだまだすべきことはたくさんある」と続投への意気込みは十分だ。
 就任した09年、市の財政はまさに火の車。借金は100万レ以上に上り、困難な状況でのスタートだった。
 「特に大事なのは教育、農業、医療の3分野」と断言する。借金返済と同時に道路などのインフラ整備、学校の建物や送迎バスの修復、医療器具の充実や巡回診療の実施などに取り組んだ。
 また、同市民の約75%が従事しているという農業には、両親が従事していたことから個人的関心も高い。
 「農家の人々が、生活が成り立たずに挫折してはいけない」と、学校で提供する食事の3割は自営農から購入するなどの奨励策をとった。「結果が出たと思う」と手ごたえを感じている。
 戦後移住者の両親は、沖縄県那覇市出身。旧姓は棚原。サンパウロ州ペドロ・デ・トレドに生まれ、結婚後、1971年から同市に住む。
 長年にわたって教師を務め、学校の校長や同市教育局長を歴任。低所得地域や非識字者の教育にも力を入れ、医療や福祉、青少年の権利に関する市の審議会のメンバーとしても活動した。「市のために何かしたい。特に今は女性の力が重要では」と、市政へ身を投じる決意をした。
 日本でのデカセギも経験している。92年に一家で日本にわたった。3年間、愛知県安城市の水産会社で働き、工場では品質管理の責任者となった。「日本は私にとって〃学校〃。すべての面で、とても勉強になった。帰国するときには自分を誇りに思ったくらい」と笑顔を見せた。

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