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湖西市の女児死亡自動車事故=容疑者出頭せず、判決先送り=山岡「国外犯処罰に委ねた」

ニッケイ新聞 2012年7月31日付け

 2005年10月、静岡県湖西市の交差点でブラジル国籍の派遣社員、フジモト・パトリシア容疑者の運転していた車が山岡理恵さんの車に追突する事故が起き、後部座席に乗っていた娘の理子ちゃん(当時2歳)が死亡した。事故数日後にパトリシア容疑者は家族とともに突如帰伯し、国際指名手配されていた。
 30日午後にサンパウロ市ピニェイロス区の地方裁判所では国外犯処罰(代理処罰)の公判が行われたが、被告人が病気を理由に法廷に現れず、判決は先送りとなった。次回の公判は、容疑者が住むというサンタカタリーナ州の裁判所で2カ月後をめどに開かれる。
 裁判の内容は後日詳報する予定だが、まず山岡理恵さん(46、湖西市在住)に裁判を直前に控えた心境をEメールで尋ね、30日午前に、次のようなコメントを寄せてくれた。
 「裁判を直前にした現在の心境を教えてください」——《もうすぐ7年になります。いくら時間が過ぎても、決して理子のことを思わない日はなく、本来なら9歳(小学4年生)なんですが、どうしてもその姿を想像もできず、いまだ2歳のままの理子です。
 今どうしてるかな? 泣いてないかな? 理子のことに関しては時間薬(ときぐすり=時間が経つことで心が癒される効果のこと)などという言葉はないと思っています。それでもやっと裁判が行われることにホッとしています。
 代理処罰を決めた日から、結果はある程度、覚悟はしているつもりです。が、いざ決まるとなると平静に受け止められるだろうか少し緊張します》。
 「被告に伝えたいことがあれば」——《やはり、真実を話してほしい、それだけです。私たちのためでなく。理子のために・・・、そして被告自身のために》。
 山岡夫妻は当初、日本国内で裁判することを目指し、約70万人もの署名を集めた。「国外犯処罰に踏み切った時の心情、気持ちを教えて下さい」——《どうしようもない現実・・・、悩みに悩んだ末、何もできないまま時効を迎えてしまうかもしれない不安。日本よりもはるかに軽いであろう処罰。不本意ですが、もう理子にしてあげられることはこれしかないんだと思い、踏み切りました。踏みきったあとも、もちろん悩みました》。
 今裁判には日本から誰も傍聴には訪れないという。「代理処罰を決めたから、静かに見守っています」と締めくくった。

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