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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年10月11日付け

 今回の地方統一選挙では全伯の有権者の25%もの票が「棄権、無効票、白票」となっており、候補者に入っていない。例えばサンパウロ市長選では1位のセーラ候補は188万票を得たが、前述の票はなんと249万票だった。つまり、事実上の1位は「どの候補もいやだ」という意見だったとの解釈もできる。「候補者には誰一人、入れたい人物がいない」という有権者からの最も手厳しい宣告だ▼ブラジルでは投票しないと罰せられる。だから有権者は理想的な候補がいない時は、批判的な意を込めて「パリャッソ(道化)」的存在に投票した。機械投票になる前はリオ動物園の人気動物に票が集中したし、「私の名はエネアス!」と怒鳴ることしかしない奇妙な候補者に史上最高の157万票(02年)が集まったこともあった▼2年前に、文字通り道化芸人のチリリッカに史上2位の135万票が集まったのも同じ現象だ。「選挙自体がパリャサーダ(ばかげてる)」という批判票だ。もちろん、「これ以上、道化を当選させても何も良くならない」と反省した有権者は、今回は批判的な投票行動を「白票」に変えたようだ。ある意味、ブラジル式民主主義の成熟といえなくもない▼PT候補もダメ、かといってPSDB候補もイヤ。最初はそんな批判票がルッソマノ候補に集まっていたようだ。でも彼の実態が報じられるにつれ、「これじゃまずい」となり、「白票」に集結した▼ブラジルには全投票の半数が「白票」の場合は選挙自体が無効になり、やり直さなければならないという興味深い法律がある。今の傾向が続くなら、近い将来、この国を憂う声がそれを実現させるかもしれない。(深)

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