ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年12月1日付け

 16日の衆院選は騒々しい位に賑やかだ。選挙が近づくと新党が次々に旗揚げし、これらがまた相次いで合併し信じられないような—いかにも巨大な政党が誕生する。こんな11政党が華々しい政権公約を掲げて闘うのだからあの日本列島が爆発するのではないかといささか気にもなる。日本維新の会の代表は石原慎太郎、橋下徹代行となり、日本未来の党は滋賀県知事の嘉田由紀子が代表、そして小沢一郎は無役で裏方だそうな▼尤も、大急ぎで結党したせいもあり、候補者が不足気味とかのマイナスもあるが、少なくとも—民主と自民だけの選挙ではなくなった。昔から選挙だけは、投票箱の蓋を開けて見ないとわからないが、新しい政党がどこまで伸びるかが、この選挙の最大の焦点となる。共産党と社民党の左翼陣営も頑張るだろうけれども、選挙の大勢への影響は少ない▼また、羽田孜、森喜朗、福田康夫、鳩山由紀夫の元首相が勇退を表明しており、一抹の寂しさも。このなかには普天間基地の移転で大きな失点を演じた政治音痴もいるが、こういう方には静かな余生をと祈っている。自民党の幹事長だった古賀誠、武部勉も引退。民主党のご意見番・渡部恒三、野田首相の指南番で長老の藤井裕久も政界を去っていく▼こうした政界の兵たちが、近頃は若手などから「老害」の陰口が囁かれるような永田町に別れを告げるのも、あるいは世の習いかもしれない。だが、あの国葬になったワンマン宰相・吉田茂のように大磯に隠棲しても有力政治家らが密かに門を潜るような大政治家はいないものか?とも思うのだが、やっぱりこれは白日夢かな。(遯)

image_print