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国士舘の次は「文化ホール」=来年新たに295万レ集める?=文協評議員会が方針決定=意欲的、それとも?

ニッケイ新聞 2012年12月13日付け

 ブラジル日本文化福祉協会の木多喜八郎会長は、国士舘エコ公園構想の実現目処がつく前に、2013年度の特別事業として250万レアルの「文化ホール」構想の推進を発表した。第143回評議員会が8日午前、文協ビル内で開催され、「文化ホール」構想を含めた来年度事業計画案と予算案が承認された。来年度は国士舘や文化ホールなどの特別事業が計上されるため、予算案はなんと今年の2倍以上の604万8千レにも膨れ上がった。これは「意欲的」なのか、それとも——。

 06年末に大幅な定款改正が行われて以来、総会よりも評議員会の方が事実上の意思決定最高機関となっており、ここでの決定は理事会に大きな影響をもたらす。
 評議員会の原田清会長はまず、13年度の事業方針として次の四つを提案し、全会一致で承認された。(1)日系、非日系を問わず日本文化を愛する人に会員になってもらう働きかけをするという会員拡充方針、(2)体育館や援協診療所跡地などを主眼とする建物有効利用の促進、(3)先進技術を取り入れて職員削減を図る、(4)国士舘の利用の再考、具合化を進める。
 特に(4)に関して原田会長は、「構想が大きい割に実施状況が思わしくない。文協にとって実行可能な構想に見直すべき」と明言した。
 これに対し、理事会の木多会長は、消防署から現行法に見合った防災設備に改修することを強く指示されており、それを最優先課題として資金集めをしている関係から、国士舘エコ公園構想を進めるための募金活動を始められない状態になっていると説明。30万レアル分の基礎工事が進行済みと説明し、日本館改修の費用集めの遅れも同じ理由によると強調した。
 続いて13年度の事業計画案審議、同予算案審議が行われ、防災設備改修費用が予定通り集まっていない中、大田レオ氏を責任者とする「文化ホール」計画も発表され、全て承認された。
 9月に委員会が発足したこの計画は、援協診療所跡地に加えて、地下の太鼓協会、蘭協会にも移転してもらい、史料館の展示場、日本料理教室、催事場などに改修し、外部に開かれた日本文化普及の場にする計画だ。費用の250万レアルは来年前半にルアネー法申請をして資金集めをし、同年後半から着工する予定。「百周年で同様の方法で資金集めした実績がある。今回も可能なはず」と大田氏は自信を伺わせた。
 昨年承認された12年度予算案では収入270万レ、支出240万レ、残高30万レのはずだが、今年1〜10月の会計報告では収入232万レ、支出244万レ、残高は12万レの赤字だった。
 来年の予算案には通常会計に加え、特別事業である国士舘に20万レ、文化ホールに250万レ、日本館改修に25万レが計上され、収入総額は605万レ、支出は566万レ、残高は38万レと、今年度予算規模の2倍以上の金額となった。
 五十嵐司評議員からINSS問題の追徴金の現在の金額を問われ、700万レになっていることが報告され、木多会長は「現在裁判中で、必ず勝てるものと信じている」と楽観視した。
 最後に、市役所により文協ビルが重要文化財指定の手続きに入っている件に関して議論された。指定が完了すると入口の改修、建物拡張が法的に不可能となり、拡張計画に不都合なため「指定解除のための手段を講じる」ことが決議された。
 また林アンドレ評議員の提案により、評議会の重要性が高いことを考慮し、決議内容を全会員に書類で通知することが承認された。次の評議員会は来年4月。半数が改選、その場で新理事会が投票され、新文協会長が決まる重要な場となる。

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