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ナイトクラブ大火災=涙にくれるサンタマリア=葬儀と追悼行進行われる=ボランティアの人々も殺到

ニッケイ新聞 2013年1月30日付け

 230人以上の犠牲者を出したナイトクラブ火災から一夜明けた28日、南大河州サンタマリアでは犠牲者82人の葬儀が行われ、1万5千人が参加する追悼行進も行われた。29日付伯字紙が報じている。
 ナイトクラブ「Kiss」の火災の犠牲者のうち82人は、約150人の陸軍兵が28日未明から掘った墓に葬られ、埋葬後の墓は、ボランティアの大工数十人が準備したセメントで閉じられた。「あの子たちは自分の子供たち同然だ。この街はいつも、希望を持って家を出て人生を模索する若者を受け入れてきた」とかけつけた男性が語るように、サンタマリアは人口30万人のうち7千人が連邦大学の学部学生という若者の町だ。だが、27日の惨事は一夜にして100人余りの学生を含む231人の命を失った。28日に埋葬された最高齢者は27歳だった。
 埋葬の現場では、我が子の死を受け止められない親が「埋葬しないでくれ」と叫ぶ声もこだました。親の中には2人の娘を一度に亡くした人もいる。また、「Kiss」の従業員の一人は火災当日体調を崩し、19歳の娘が代わりに働きに行き犠牲となった。この娘は無事に脱出できたが、観客を救出しようとして命を落とした。こうした悲嘆にくれる遺族や友人を支えようと、全国からカウンセラーや宗教関係者も集まった。
 また、28日夜は1万5千人の人が集まり、追悼行進を行った。参加者の多くは白い服を着て、無言のまま「Kiss」の前から犠牲者の遺体を収容し、27日に通夜が行われた体育館までの2キロの道を行進した。体育館には遺族たちを案じて集まったボランティアの医師なども溢れ、遺族に出すサンドイッチ用のチーズやハムが欲しいとの情報がインターネットの社会ネットワーク上に流れた1時間後には、冷蔵庫もない体育館に食べきれないほどのチーズやハムが届いたという。
 一方、入院中の被害者のうち75人は呼吸器系に重度の障害を受けており、予断を許さない状態が続いている。外傷はなくても、煙や有毒ガスを吸った人は3日以内に重度の肺炎の症状を起こすことがあり、入院患者が増える可能性も高い。
 27日にサンタマリアを訪れた後、ブラジリアに戻ったジウマ大統領は28日、サンタマリアの悲劇を繰り返さぬよう、全国の市長にナイトクラブの監査を徹底するよう司令を出した。フェルナンド・ハダジサンパウロ市市長は27日に防災のための組織創設を決め、28日に初会合を行なった。エスタード紙によると、サンパウロ市では、この2年間に消防署の監査を受けたナイトクラブ636軒中、基準を満たしていたのはわずか3割の194軒に過ぎなかったという。

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