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名伴奏者が初めて主役に=真喜屋研究所15周年で

ニッケイ新聞 2013年2月6日

 真喜屋弘琉球民謡・古典音楽研究所創立15周年記念ならびに第1回発表会が、17日午後2時からサンパウロ市の沖縄県人会本部大サロンで開催される。真喜屋さん(72、二世)は当地における三線の弾き手の中でも、琉球古典と民謡の両方で師範の資格を持つ唯一の人物であり、サントアンドレ—市で30人以上の門下生に教えている。
 2011年末に来伯した沖縄出身の有名バンドBEGINも同研究所にわざわざ立ち寄り、子供らが自分達の曲を弾く様子を見て「彼らはブラジルのBEGINだ」と涙を流して喜んでいましたと宮城あきらさんは振り返り、「難しい古典音楽を三、四世の子供がたくさん学んでいるところがすごい」と説明した。
 実行委員長の山城勇さんは「真喜屋さんは優れた技能を持つが謙遜の人で、絶対に人前に出たがらない。今回も門下生から押され、ようやくやる運びになった。滅多にない機会なのでぜひ聞きに来てほしい」と薦める。
 真喜屋さんは1940年にジュキア線ビグワーの沖縄移民集団地で生まれ、7歳の頃から三線に親しみはじめ、和宇慶朝幸さんらに師事した。和宇慶さんは野村流の工工四(三線楽譜)を始めて当地に持ち込んで広めた功労者だという。
 当日は真喜屋さんらの生演奏に合わせて、母県から駆け付ける新垣恵さんほか、具志堅洋子琉舞道場、斉藤悟琉舞道場などが特別出演し、多数の豪華メンバーが踊りを披露して盛り上げる。
 門下生の座嘉比シモネさん(34、二世)は「叔父、叔母、父が門下生だったので、私は自然に始めました。今は子供たちがインターネットでBEGINなどのポップスからまず沖縄音楽に関心を持ち、次に民謡、さらに古典へと進むパターンが多い。子供たちに関心が高まっている良い時期なので、ぜひ発表会をと先生に薦めた」と説明した。
 真喜屋さん普段、舞台の袖に隠れた名伴奏者、縁の下の力持ち的な存在だが、この日ばかりは主役として表舞台に立つ。

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