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ニッケイ新聞 2013年5月17日

 若宮丸漂流民4人がロシア軍艦に乗って伯国初上陸した1803年から210周年。日本人初の世界周航のみならず、北は北極圏、南は南米最南端ホーン岬から南極近くまで嵐で流され〃両極通過〃まで体験した。時はまだ江戸時代、現代風に言えば「UFOに乗って太陽系の外を見てきた」ほどの奇異な経験で、帰国後も信じる者がほぼおらず、郷里では多く語らなかった▼実はロシアにとってもこれが初の世界一周、伯国初上陸だった。「ロシアの声」サイト(モスクワ時間12年12月24日12時16分放送)によれば、同船団がペルナンブッコ州レシフェ港に立ち寄った時、地元民から熱烈歓迎を受け、祭りに招待されてお礼に船員がコサックダンスを披露した。腰を落としたまま膝下を蹴り上げる独特の同踊りをみた地元民は驚き、気に入ってその場で教えてもらった。それが同地の民族舞踊「フレーボ」の動作として現在も残っている。同軍艦通過の〃文化的痕跡〃だ▼科学者グリゴリ・ラングスドルフも同艦に同乗し、1812年に世界周航記録を出版した。それで新世界に関心を持ったロシア皇帝は、彼を駐リオ外交官に任命した。退官した後も皇帝から援助を受けて再渡伯し、1821〜29年まで科学者による遠征隊を組んで博物標本を集めて回り、インディオの文化人類学的観察までし、1万2千キロを踏破した▼でも1828年に彼は熱帯病に罹り、ロシアに帰って療養したが良くならなかった。その生物標本は世界有数の当地標本集と言われ、蝶だけでも1600種という。日露に伯国の存在を知らしめたこの世界周航のことは、もっと知られていい。(深)

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