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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年6月12日

 百周年までの邦字紙は日本語で記事を出せばいい、二世の方が日本語を学ぶべきだという感じだった。ところが現実には、いくら想いを込めて記事を書いても日本語で書いてある限りは伝わらない。二、三世に「なぜそんなことも知らないんだ」と怒っても仕様がない。彼らに知って欲しい移民史はポ語にすべきなのだと痛感する毎日だ▼アマゾン移民80周年(09年)の連載や関連記事をまとめてポ語訳を付けた記念本が完成し、弊紙主催で14日午後7時から移民史料館(文協9階)で出版記念会をすることになった。今回の本の内容も二、三世にはほぼ知られていない。ポ語で書かれたアマゾン移民史はとても少ないからだ▼同地方関係者に限らず、普段は移民史に興味を持たない子や孫にこの本を贈ってほしい。「日本移民がアマゾン地方にも果敢に入っていき、多大な犠牲を払いながらも踏みとどまり、ブラジル社会に大貢献した」ことが分かるはずだ▼終戦後に思春期を過ごした二世は日本文化と疎遠になりがちだが、今は大胆に〃日系回帰〃する三世世代が台頭してきている。祖父はなぜ渡伯したのか、その当時の日本はどういう状況だったのか。たとえ日本語が分からなくても自分のルーツに強い関心を持つこの世代に、この本を皆さんから贈呈してほしい▼いずれは日本語学校の副読本にできるような、子供向きの日ポ両語の移民史絵本を作るべきだと前々から感じている。ぜひその時はご協力をお願いしたいが、まずはアマゾンの本が読まれないと話にならない。出版会当日のみ60、以後70レアルで販売。遠隔地の方は太陽堂、竹内書店等にご注文を。(深)

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