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「日系人の生活安定が大事」=厚労省・堀井課長が来伯=雇用情勢、対策を説明

ニッケイ新聞 2013年10月8日

 厚生労働省職業安定局・外国人雇用対策課の堀井奈津子課長がCIATE(国外就労者情報援護センター)主催のコラボラドーレス会議に参加するため来伯し、9月27日午前に記者会見を行い、在日日系人の雇用状況や日本政府の対策について概略を説明した。帰国支援を受けた人の再入国を10月15日から条件付きで許可されたことにも触れた堀井課長は、「せっかく来ても、仕事がなく行ったり来たりになっては意味がない。安定した生活を確保してもらうことが大事。そのためにもリアルな雇用状況を伝え、情報提供に努めたい」と話した。
 堀井課長によれば、日本での今年7月時点での有効求人倍率は、過去最低の0・42倍だった09年8月から0・94倍に回復、完全失業率は3・8%と下がってきていることから、現在の雇用情勢は「一部に厳しさが見られるものの改善が進んでいる」という。
 南米国籍の在留者数は減少傾向にある。ブラジル人に関しては07年から12年の間に約12万6千人減少したが、在留者の求職活動は「苦戦を強いられている状態」。経済の持ち直しで短期の就労は戻ってきているものの、不安定雇用の構造は変わっていないという。
 近年の日系人の新規求職者、相談件数はともに増加傾向で、08年8月と今年7月を比較すると求職者数は約1・5倍、相談件数は約3・6倍に増えている。派遣や請負での就労は景気や雇用情勢の影響を受けやすく、2011年11月から1年間の離職率は34・9%に上った。堀井課長は「相談件数が多いのは、短期で就労を繰り返しているからでは」と分析する。
 「日系人の希望する賃金の水準は高い」(堀井課長)。外国人でも日本語能力が高い求職者が好まれる傾向が強くなる中、日本人並みの賃金を求めるなら日本語も職業スキルも日本人を凌ぐものが必須だ。
 日系人への雇用対策としてはハローワークに通訳・相談員を設置し、今年度はその数116カ所、外国人専門員は97人に増えたが、09年から実施する就労準備研修については「財政が厳しい」(堀井課長)ため年々受講者の人数は減り、初年度は6300人だったが、今年度計画では半数以下の2800人規模となっている。

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