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山本喜誉司賞決まる=岡島、新宅ら4氏に=農業分野の貢献讃え

ニッケイ新聞 2013年10月22日

 農業分野における貢献者を称える山本喜誉司賞の第43回受賞者が決定した。二つ以上の団体から推薦を受けた人が対象となり、今回は17人の中から4人が選考された。11月8日午後7時から、文協ビル貴賓室(Rua Sao Joaquim, 381 – Liberdade)で授与式が行われる。受賞者と主な選考理由は次の通り(敬称略)。
◎岡島博(72、群馬)=パラー州カスタニャール在住。絶滅種だったブラジル・マホガニー含め、200ヘクタールの同植林地を造成し、植林事業のモデル農場となった。同植林地内では森林農法(アグロ・フォレストリー)を導入し、4万本のカカオ樹を共存させ、地域農業振興に貢献している。また、アマゾンの熱帯雨林の保護を提唱、群馬県から寄付金などの協力を得て原始林540町歩を購入し、「アマゾン群馬の森」として運営管理を行っている。
◎新宅義美(76、二世)=サンパウロ州マリリア在住。60年代から採卵養鶏業を開始した。当時生産性も低く、専門の技術者もいない中、聖、ゴイアス、ブラジリア各州より24人の有志を集めて養鶏協会をつくり、研究に専念した。米国や日本、エクアドルなど積極的な国外視察を敢行し、マリリア地方に適した飼育方式を提案して生産性の向上を図った。生産コストの低減、不況時に対応できる精密養鶏における育成、産卵の飼養管理技術と経営管理方式の確立にも尽力した。
◎松原宗文(75、二世)=麻州シノップ在住。土壌中の炭素を集積させる「不耕起直播耕法」の開発等による土壌管理技術の普及に尽力。同州ルカス・ド・リオ・ベルデ、ソリーゾの両地域にも技術を導入し、冬季作に適応するトウモロコシなどの新品種開発を達成した。両地域はそれぞれトウモロコシ、大豆の大生産地として発展しており、地域社会に大規模な直接雇用を生み出した。
◎堀田ワルテル(50、二世)=バイーア州バレイラス在住。同地においてトウモロコシ、綿、大豆などの輪作技術を確立した。これにより、従来の数倍の収穫高を確保している。経営するグループ会社では1千人を超える雇用を生み出しており、経済面においても地域社会に貢献している。

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