ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年11月29日

 ジョゼ・ジルセウ——今も反軍事政権闘争の伝説的英雄と信奉するファンもいる。64年に軍事クーデターが起き、彼はまだ19歳の美青年だったが、共産党傘下の学生運動に加わった。サンパウロ市PUC大学に進学し、〃都市ゲリラ戦の教祖〃カルロス・マリゲーラ隊に参加した。68年にはサンパウロ州学生連合(UEE)会長となり、同10月にイビウナの農場で秘密開催された全伯学生連合(UNE)大会に政治警察が踏み込み、逮捕された▼ここから謎に包まれた伝説時代に入る。69年9月に米国大使がゲリラに誘拐され、その解放と引き換えに15人の獄中活動家をメキシコに亡命させた。その一人がジルセウだ。彼を含む28人はキューバでスパイ訓練を受け、整形手術を受けて別人としてブラジルに潜入し、軍事政権とのテロ闘争を目指した▼しかしマリゲーラが殺害され、同志が次々に捕まる中で組織活動は崩壊していく。ジルセルは逃亡し続けてパラナ州で密かに結婚し息子を、次にポルトガル人女性と娘を、さらに現在の妻とも息子をもうけた。その間のことはあまり知られていない。隠密武装闘争の末、79年に恩赦を受けた。ジルセウ名に戻ってPT創立に関わり、〃伝説〃を持つ政治家になる▼今回の最高裁判決で収監されるとき、孤独な反権力闘争をした過去のイメージに被せて「プレーゾ・ポリチコ(政治犯)」を自称した。ところが、政権党PTの同盟党支援者が経営するホテル幹部として、月2万レアルもの高給雇用契約をして話題になった▼彼が本当に政権と対立する〃政治犯〃であるならば、与党支援者から特別待遇を受けるはずはない。また一つ〃謎〃が生まれた。(深)

image_print

こちらの記事もどうぞ