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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年2月28日

 90年代前半、大半の商店の値札はすぐに数字カードが入れ替えられる差し込み型だった。週に何度も値段が上がるような超インフレは国民を苦しめ、プラノ・コーロルなどの間違った政策が経済に止めを刺してデカセギ・ブームを起こした▼そんな94年、カルドーゾ蔵相(当時、FHC)のプラノ・レアルが超インフレを見事終息させた。それから20周年を祝う式典では、プレ大統領選のようにPT批判の連発だったと伯字紙は伝える▼近年の政治状況を見ていて、実は最も理想的な政体のあり方はPTとPSDBの連立ではないかと思えてならない。旧態が政界に残るのは、PMDBに象徴される旧来勢力が幅を利かせている影響が強く、新興勢力が団結してそれを排除することで政治を一次元高める気がする▼軍政時代の対抗政党MDBの流れから80年にPMDBが発足したが、国全体が左傾化する中で同党は今や旧態右派の中心だ。全伯5568市の1022市でPMDBは市長を抱え、僻地、低開発地域ほどその地盤が強い印象がある▼一方、PTやPSDBの地盤はサンパウロ州やミナス州など工業発展が進んだ都市部が中心で、北伯、北東伯に地盤が弱かった。選挙で都市部と農村部を網羅するにはPMDBは絶好のパートナーだ。でも、PTはボウサ・ファミリアなどの貧民政策を通して北東伯などで地盤を固めて来た。そろそろ「選挙に勝ためには臭いものにフタ」を辞めてほしい▼PTもPSDBも元学生運動家が中軸になって設立された共通点があり、事実上その方向性に大差はない。実はFHCはPT発起人でもある。彼が呼びかければPT連立も可能ではないか。(深)

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