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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年4月9日

 三宅ダルシさんが証言した〃ウビラジャラ大尉〃と思しき元市警捜査官の写真を見ると、実に上品な白髪の紳士然としたタイプで、にわかには拷問を繰り返していた人物とは信じがたい。〃ジキルとハイド〃だと戦慄を覚えた▼拷問で父親を殺され、姉妹を強姦された元活動家イヴァン・セイシャスさんと軍政50年式典で話していたら、拷問の最中に犠牲者の健康状態を見て「拷問続行かどうか」を診断する役割を日系医師が担っていたという…。加害者と犠牲者の両側に日系人はいた▼69年10月、メジシ大統領就任時に日系初の大臣、安田ファビオ商工大臣が就任した。真面目な日系人は軍政においてむしろ重用された。おもえば日系大臣は3人とも軍政時代だ▼日系初の連邦下議だった田村幸重が軍政から議席剥奪された時、彼と親しくしていた外山脩さんは当時の邦字紙が大きな扱いをしなかったことを「軍政に対する配慮があったのでは」と今も訝っている。「体制に反抗して議席剥奪されるような人は、本当なら英雄扱いされても良かったんだろうけど、支える人がおらず、どんどん孤立して存在が消えていった印象だった」と振り返る▼安部順二下議も「軍政時代にリオ―サンパウロ間の海岸部に立派な道路を作ろうとして、今も作りかけの残骸があちこちに残ってますよ」と負の遺産を嘆いた▼日系移民史も106年目にもなれば闇に包まれた部分が生じる。ブラジル史自体にそういう部分があることを反映しており、その分だけこの国の成り立ちに深く関与してきたことの証でもある。冷静に歴史の闇に光を当て、それで癒されるであろう遺族に共感することも大切ではないか。(深)

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