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総会の様子
総会の様子

援協総会=グアルーリョス病院建設延期=SA病院の経営安定を優先=会員「巡回診療の充実を」

サンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)は26日午後1時、『第54回定期総会』を同協会社会福祉センターで開き、61人が出席した。
一分間の黙祷の後、菊地会長はあいさつで、「2013年は大きな問題も無く過ごせた」と会員、協力者へ感謝を述べた。今年度の課題として、サンミゲル・アルカンジョ(以下SA)SUS病院と、同市から運営を引き継いだ救急診療所の経営建て直しを誓った。
同診療所の方は市が経費を全額負担することになっている。ただし市の支払いが滞っており、SUS病院の赤字も加えると援協負担分は40万レを超す状況だ。そのため先月、毛利連氏から運営委員長を引き継いだ具志堅茂信氏を中心に、援協は経営改革に取り組むと同時に、支援金の増大を求め、交渉を続ける意向という。
SA病院の敷地内に救急診療所を新設するのに、250万レが投資されることになっていた。完成すれば現行の救急診療所を移転する予定だった。ただし経費削減のため、病院内の空室などを最大限利用することで、50万~70万レ程度に抑えることになった。
こうした状況から、14年に第一期建設工事を予定していたグアルーリョス病院は、SA病院の経営が安定するまで延期されると発表された。
2013年度の活動報告が行われ、14年度の予算も発表された。13年度の総収入は2億9078万6386レ、総支出は2億6648万1526レ。純利益は2430万4860レと前年から約700万レ増加した。足立操事務局長によれば、「会計処理のオンライン化による効率化と来院者数の増加」が純益増加の要因だという。
14年度の総予算は3億446万7千レとなった。予算は主に人件費と設備の改修、充実に使われる。
日本国際協力財団の神内良一理事長から特別資金援助1億円の申し出を受けて発足した「神内プロジェクト」による、カンポスさくらホーム、サントス厚生ホーム、あけぼのホームの3施設改修や整備には約5千万円が使用され、残りは基金として運用される。
一方、会員からは巡回診療の内容充実を求める声があがった。「田舎の人は忙しさから病院に行かない人が多く、巡回診療が唯一の健康診断の機会となっている」と述べ、過去行われていた胃ガンなどを発見できる内視鏡の再導入を求めた。
現在の巡回診療では、血液検査をはじめ前立腺検査や婦人科検診が行われ、生活習慣病の予防に対して力が入れられている。菊地会長は「近年、保険法による衛生面の規制が厳しくなり、昔のようにバス内で高度な診療は出来なくなっている」と説明、「出来るだけのことはしたい」と理解を求めた。

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