樹海

 大統領選の一次投票でマリナはジウマと並び、決選投票では過半数を制して圧勝する―支持率調査でそんな筋書きが出てきた。カリスマ性が高いマリナが、カンポスの飛行機事故死という劇的状況を踏み台にして出馬した結果、支持率急上昇を見せた▼今の状態が続けばマリナ派単独当選すら可能だ。可能だが、それをやると来年からの議会運営が困難だ。マリナ派連邦議員は33人のみ、アエシオ派118人が連合しても過半数の257人には遠く及ばない▼もしマリナ派単独当選なら、与党法案はことごとく野党に葬り去られ、国政の大混乱は必至だ。カリスマ性が強い候補の場合、大統領直接選挙の制度的問題点が強く出てしまう。とはいえ、さっそくPMDBやDEMの一部がマリナ側に寝返る意欲をみせている。その種の〃政策なき政治家〃が大挙して加われば、結局、現政権と大差ないことになるかも▼マリナ支持票は、「彼女を応援」というよりも、PTやPSDBへの「批判票」を集める傾向が強いとの指摘がある。だからマリナに経験がなかろうが、議会運営が困難だろうが、既存政党への批判が強いほど支持を増やす▼義務投票制度の〃鬼っ子〃が批判票だ。どの候補にも入れたくないが義務だから仕方ない、それなら批判票を―となる▼昨年6月の〃抗議行動の波〃を生んだ政権批判はマリナ支持として表れているようだ。マリナ当選なら、昨年のような大規模デモは再発しないだろう。難しいだろうが、万が一ジウマがアエシオを説得して決選投票でPT=PSDB連合を組めば巻き返しは可能で、与党経験者が揃う政権となる。だがその場合、リオ五輪前にデモ再発があるかも。(深)

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