樹海

 「腹八分目に医者いらず」「大食短命」などと、日本には大食を戒めることわざがある。こうした昔ながらの知恵は、現代にあっては「迷信」として片付けられることも多いが、近年それが、別名〃長生き遺伝子〃と呼ばれる「サーチュイン遺伝子」の発見により、科学的事実だと言われだした▼「サーチュイン遺伝子」とは、その活性化により寿命が延びるとされる遺伝子だ。普段は冬眠状態にあるが、カロリー制限をしたり飢餓状態に置かれたりすることでスイッチが入り、活性化する遺伝子とか。実際に、単細胞生物、昆虫、ねずみなど小動物では、カロリー制限による長寿・抗老化作用が証明されている▼米ウィスコンシン国立霊長類研究センターでは、この説が霊長類にも当てはまるかを確かめるべく、猿で実験を行なった。餌を制限なく食べられるA群と、30%のカロリー制限をしたB群に分けて20年以上にわたり飼育し、死亡率や疾患率を見た所、B群はA群より寿命が長く疾患・死亡リスクも減少、見た目も若々しかったという。まさに「大食短命」の結果となった▼これらの検証はまだまだ研究段階で、無防備に飛びつくと健康を損ねかねないが、日本では「一日一食で若返る」と小食を進める医師まで現れた。そういえばコラム子の家人も今年で50歳になるが、一日一食、多くて2食しか食べないのに病気一つせず、肌にはしみもしわもない…▼当地でよく言われるのは、「日本人は年をとっても若く見え、ブラジル人が老けるのが早い」ということ。原因は食事の質、内容、遺伝子、それとも生活習慣? いやいや、ひょっとしたら「食べ過ぎ」に思わぬ落とし穴があるのかも。(阿)

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