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ゴルゴ13もビックリのブラジル人スイス口座

 「F5R6I5D1A3XY」とは何か――劇画『ゴルゴ13』の主人公、デューク東郷が持つスイス銀行の口座番号だ。この番号が意味するのは、顧客が「口座番号」で管理され、それが誰かを知るのは担当者と銀行幹部のみという事実だ。スイスは刑法で顧客の守秘義務が定められている稀な国のよう▼ただし、08年の世界金融危機の折り、莫大な利益を稼いで破局を招いた投資家本人に賠償を求めようにも、資産の所在や金額が不明でできなったので、アメリカのIRS(国税庁)がスイスに噛みつき、ようやく情報開示した。それ以後、秘密主義を諦めて司法要請に応じて口座情報を出すようになった▼それまでは素性を知られたくない客に便利な口座として愛用されてきた。富豪の脱税資産の隠し場所、賄賂の受け取り口座、果ては独裁者、テロ組織まで使った▼そんなスイスHSBCにブラジル人6600人が8667口座を持ち、脱税資金計70億ドルが隠されているとの報道が先日あった。国籍別で5位だから、当地富豪は世界的に見ても多い▼実際ペトロロンで、うち19口座が調査対象に。04年にはパウロ・マルフィ下議の同国口座に3億4千万ドル、10年にはサルネイ家の同口座に1300万ドルなどの報道もあった▼今回の報道に関し「どの報道機関も口座名義人リストを出さない点が問題だ」と批判が高まっている。HSBCは当地でも頻繁に広告を打つ。広告主叩きはやり辛いし、コラムニストや社上層部など関係者名がそこに出てくれば、さらに難しい…。グローボ局有名女優の名があるとの噂も。隠し資産と共に当地メディアが抱える闇もそこに眠っている。(深)

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