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特に世話になった3人を舞台に上げた家元
特に世話になった3人を舞台に上げた家元

さよなら会で真情を吐露=池芝緑家元の永住帰国で=友人ら120人別れ惜しむ

 日本舞踊の池芝流家元・池芝緑さんが5月に永住帰国するあたり、4月26日午後、サンパウロ市の東洋会館で「さよなら会」が催され、昔からの友人や多くの来賓ら約120人が別れを惜しんだ。48年間の在伯中に300人もの弟子と20人の名取りを育てあげた。
 弟子らと共に12曲を披露した後、舞台に正座した池芝さんは、「まだ実感が湧かない。なぜだかブラジルに馴染めなかったのよね。サントス港に着いた時に、ああ、来るんじゃなかったと思った。その気持ちを引きずったのよ」とまるで噺家のような、江戸っ子らしい歯切れの良さで語った。

お別れに参じた池芝流名取の徳千代、緑千代、緑爽3氏

お別れに参じた池芝流名取の徳千代、緑千代、緑爽3氏

 「48年間はあっという間だった」というと、おもむろにマイクを舞台に置き、「皆様、本当にありがとうございました」と床につけんばかりに頭を下げた。
 最初にはリベルダーデ文化福祉協会の池崎博文会長、文協会長代理で山下譲二副会長が「帰国されると聞き、おどろいた。日系社会の財産だった」、援護協会の菊地義治会長も惜しんだ。
 付き合いの古い網野弥太郎ACAL評議会会長も「コロニアの権力に立ち向かう彼女の気迫を、我々が学ばなければ。池芝の名を永久に残して欲しい」と願った。園田明憲前県連会長や井上久弘文協芸能委員らも別れの言葉をのべた。
 池芝さんは特に世話になった3人を舞台に上げた。妻・池芝緑苑が池芝流を継ぐことになった蓮井清朗さん(きよあきら)は「美しい祖国に帰っても元気で創作舞踊に励んで欲しい」、瀬尾正弘さんも「人を感動させる踊りをすることでコロニア芸能界では衆目が一致した」とのべ、西村定栄さん(さだえ)は「先生は後ろ髪ひかれる思いで帰られると思う。できることなら引き止めたい」とのべた。
 同じ花柳流から金龍師匠の代理で数人が訪れ、「最後の舞を見せてもらいに来た」と寂しそうに語った。


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 池芝緑さんの「さよなら会」で、網野さんなど惜別の言葉を贈った来賓の多くは、「せっかく地盤を築いたのに、なぜ帰国をするのか」との疑問の言葉を織り込んでいた。その中で観客の一人、堀小枝さん(76、二世)は「私は二世だけど、先生が日本に帰る気持ちがちょっと分かる。20年ぐらい日本で仕事をして帰ってきて10年になるが、日本には常識があった。ここは泥棒ばかり…」と妙に共感していたのが印象的だった。とはいえ、全てはやってみないと分からない。数年で東京暮らしに飽き足らなくなり、家元が永住帰伯することもありえる?!

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