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出場した選手団(左から4人目が高山真澄さん)
出場した選手団(左から4人目が高山真澄さん)

世界剣道選手権=ブラジル女子3年連続3位と健闘=日本選手から小手一本=「絶対に下がらない」

 国際剣道連盟主催の『第16回世界剣道選手権大会』が5月29日から3日間、東京の日本武道館で開催され、ブラジル代表選手団として男女各10人が訪日した。団体で男子が8強、女子が第3位に輝き、個人戦では男子は3人、女子は2人が予選を勝ち抜き、決勝トーナメントに進んだ。18年ぶりの日本開催となった今大会は歴代最多となる56カ国、個人戦では男子は211人、女子は154人が出場した。

 ブラジル代表の男子団体はドイツ、ブルガリアとの予選リーグを順当に勝ち抜き、16チームで行う決勝トーナメントに駒を進めたが、準々決勝で3連覇中の王者日本と対戦し、0対5で敗退した。
 3本勝負のうち、日本選手から外国人選手が一つでも引分けに持ちこめば健闘といわれる中、当地の高山真澄さん(33、二世)は小手で一本をとり、8選手のみに与えられる敢闘賞を受賞した。「初めて公式に日本と対戦し、日本選手の持つ凄みのある雰囲気に圧倒された。自分も〃絶対に下がらない〃という気持ちで立ち向かった」と熱戦を振り返った。
 女子団体はシンガポール、スイス、トルコとの予選リーグを勝ち抜き、決勝トーナメントではマレーシア、イタリアを下した。準決勝で強豪韓国と対戦し、健闘するも1対4で敗退。しかし、3大会連続の3位に輝き、世界の強豪として面目を保った。
 高山さんの妻で女子個人戦に出場したタビタさん(32)は予選を勝ち抜いたが、決勝トーナメントで強豪韓国選手と対戦し、惜敗した。「武道館という場所で強豪選手と対戦できて光栄だった。この経験を他のブラジル選手に伝えていきたい」と話した。
 同じく女子個人の予選を勝ち抜いた立花優さん(30、三世)は「初めての世界大会でレベルの高さを痛感したが、同時に次の大会への意欲も湧いた」と意気込んだ。
 大会を総括してブラジル剣道連盟の蛯原忠男会長は、「もちろん日本との実力差はあるが、試合として形になってきており、男女共にレベルの向上を実感した。若手選手たちも成長しており、次回大会へ向けて期待している」と選手たちを激励した。
 ブラジル代表選手は以下の通り(順不同、敬称略)。【男子】戸井田ケンジ、尾中栄作、戸井田ジュンジ、高山真澄、大政ヒデヨ、武井タダシ、深水セツオ、浦野コウイチ、米田裕、戸井田エイジ。【女子】尾中美和、高階ハルミ、木村リエ、戸井田リエ、古田土マリナ、林ミユキ、大政マリ、伊藤カオリ、立花優、高山タビタ。


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 ブラジル剣道連盟の蛯原忠男会長に世界の情勢を聞くと、日本が男女ともに頭一つ抜けて強く、次に韓国が続くのだという。ブラジルは米国、台湾、男子ではそこにハンガリー、女子ではドイツが加わり、3、4位の座を争っている様相だとか。世界選手権では前回大会の4強以上の国は、お互いに準決勝まで対戦しないよう組み合わせが行われるため、男子は前回の8強という結果が今回に響いたようだ。柔道のように、いずれは日本を脅かすぐらいの活躍を期待したいところだ。

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