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ほんのわずかな心の隙に

 連邦直轄区で12日、曽祖父の家に来ていた1歳7カ月の男児がプールに落ちて溺れ、心肺停止となったが、隣に住んでいる消防士が駆けつけ、直ちに救命措置をとったために助かるという事件が起きた▼家族での談話を楽しんでいた父親が水を取りに行って戻ってきたら息子の姿が見えず、慌てて探したらプールに浮いていたという。父親が飛び込んで救出したがもう息をしておらず、曾祖母の叫び声を聞いた消防士が駆けつけて蘇生術を施しても、なかなか息を吹き返さない▼駆けつけた救急隊がぐったりとした子供に酸素マスクをはめ、救命措置を続ける映像は見ている者をハラハラさせる。男児はやがて息を吹き返して泣き出したが、救急隊員らは最初に施した救命措置がなければ男児の命は失われていたと曾祖母に告げたという▼名前すら知らなかった隣人に曾孫の命を助けられた一家は、隣人を「時にかなって送られた保護天使」と評した。当の天使は男児が元気になったと知って満足したが、自分の名前を明かす事は望まなかった▼夏顔負けの暑さが続き、長期休暇に入った人も多いだけに、わずかな心の隙に生じる水の事故は要注意だ。幼子を水の事故で亡くし、その地域へは再び旅をしないという家族もいるし、今回のように奇跡的に助かる例もある▼様々な形のフェスタや、海岸や山に避暑に行く人も増える中、喜びの時を悲しみの時に変えぬ注意は不可欠だ。12日未明には、サンパウロ総合大学卒業生で4日未明、フェスタ帰りに4人組に襲われて頭蓋骨骨折の重傷を負ったベニシオ・レオン・フィーリョ氏が亡くなった。悲しみに沈む遺族には心の底から哀悼の意を表したい。(み)

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