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開会式の様子。左から2番目がジョゼ・ゴーデンベルギ氏、ジョゼ・コレア副理事、本山理事長、ザノット理事、中前在聖総領事
開会式の様子。左から2番目がジョゼ・ゴーデンベルギ氏、ジョゼ・コレア副理事、本山理事長、ザノット理事、中前在聖総領事

両国関係を新しい段階に=「日伯交流の展望」セミナー=聖州工業連盟と人文研

 サンパウロ州工業連盟(FIESP、パウロ・スカッフィ会長)とサンパウロ人文科学研究所(本山省三理事長)が日伯外交樹立120周年を記念した「日伯交流の展望」セミナーを22日に同連盟講堂で開催し、約200人が終日、伯人企業家の視点から見た両国協力関係の今後や、日系人の貢献などの話題にじっくりと聞き入った。

 「120周年は新しいサイクルの始まり。日伯関係を次の段階に押し上げなければ。ブラジルに足りないのは中長期的な計画。次の大統領選挙までという短期的な視点では危機は乗り切れない。日本からその点を大いに学ぶ必要がある。自動車業界が壊滅的な減産に陥る中、日本車だけが気を吐いている状況はそれを象徴している」。午前9時、トマス・ザノット外国通商部会理事による熱い期待が込められたそんな言葉で開会した。
 本山理事長は「日伯の中長期的な関係構築に日系社会の存在は不可欠。120周年の成果をじっくりと議論して」と提起し、中前隆博在聖総領事も昨年の安倍晋三首相来伯からの流れを説明。
 著名な物理学者で元環境大臣のジョゼ・ゴーデンベルギ氏が「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)に関係して環境における日伯協力」をテーマに講演し、「日本の火力発電所は世界一汚染物質除去が進んでいる。そんな先進的な環境技術がブラジルで最も求められる」と強調した。
 続いて「経済における日伯国家計画」をテーマに。統括のルイ・マルチンス・アルテンフェルデル・シルバ氏(同工業連盟・先進研究高等諮問会会長)は「永遠の〃未来の大国〃といわれてきたブラジルにとって、日本の競争力の高さは別格。両国の補完性の高さを見直すべき」と論じた。
 同外国通商部会のジョゼ・アウグスト・コレア副理事も「伯国もTPPに入れてほしいと梅田大使に検討をお願いした。メルコスルは大衆迎合主義で地に落ち、EUとの交渉は遅れに遅れて話にならない。気が付いたらTPPが動き出した。このままでは取り残される」との危機感を訴えた。
 セニブラ社(日伯紙資源開発株式会社)のパウロ・ブラント社長は「日本から植林の投資をしようと近隣の農場を買っても、観光保護局(IBAMA)には何百頁もの許可申請書類を送り、1年経っても返事が来ない。ブラジルは自分で自分の首を絞めているとしか思えない」と会場の苦笑いを誘った。
 元アルノルテ社長の池田アキヒロ氏に続き、免疫技術研究所のアキラ・ホンマ所長は「いまや人類の脅威といえるジカ熱、デング熱、チクングニア熱のワクチン研究には日本の協力は不可欠。補完関係を強化しなければ」とのべた。
 午後の「教育分野における日伯協力」では日系初の大学学長カルロス・シゲユキ・セジヤマ(ヴィソウザ連邦大学)、平野セイジUSP副学長らが最高学府中枢部の体験を講演、「文化分野などにおける日本移民や日系人の協力」では高橋ジョーさんが伯国における日本食の普及状況、人文研理事の細川多美子さんが日系団体全数調査について説明した。

 

□関連コラム□大耳小耳

 聖州工業連盟のジョゼ・コレア副理事はなかなかのアイデアマンで「日本とは宇宙開発で協力できないか」と提言。なんでも「地球の自転角度の関係で、ロケット打ち上げは赤道からが一番燃料費がかからない。ブラジルには3千キロにわたる赤道地帯がある。愛知県でロケットを作って種子島まで運んで打ち上げるそうだが、ちょっと足を伸ばしてアマゾンから打ち上げたらどうか。ウクライナ、中国と打ち上げ協定を結んできたがうまくいってない。熱帯雨林監視衛星や携帯電話衛星など36も打ち上げる必要がある。ぜひ日本に協力してほしい」と熱弁をふるった。昔は移民が船に乗ってきたが、次の時代はロケット?

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