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共に汚職の嫌疑がかけられているボリビアのエボ大統領(左)とベネズエラのマドゥーロ大統領(中央)(AVN/ABI 05/03/2016)
共に汚職の嫌疑がかけられているボリビアのエボ大統領(左)とベネズエラのマドゥーロ大統領(中央)(AVN/ABI 05/03/2016)

ラ米=元首続々と検挙される=民主化の進展が主要因=情報化社会も拍車掛ける


 現在、ラ米諸国8カ国で、合わせて10人の現職もしくは元国家元首に汚職疑惑がかけられていると、6日付フォーリャ紙が報じた。
 彼らにかけられている嫌疑は収賄、マネーロンダリングから殺人に至るまで多岐にわたる。
 「ラ米各国での汚職捜査には共通点がある。過去20年で、中産階級層が増大した。それらの人々はこれまでのように『汚職もするけど、仕事もする』型の指導者に寛容ではない。彼ら中産階級層は、より質の高い政府を求めている」と語るのは、北南米アメリカ諸国研究センター、カウンシル・オブ・アメリカス(COA)のラ米諸国政府研究専門家のブライアン・ウィンター氏だ。
 調査機関「ラティーノバロメトロ」の15年の調査結果によると、ラ米諸国の国民が問題視する社会問題では、暴力、失業、不況の次に汚職が入り、教育、医療、貧困を上回った。「国民が不況に喘いでいる中、汚職への反感は捜査機関にとって追い風となっている」とCOAの国際関係部のマシュー・テイラー氏は語った。
 一番最近のエピソードは、4日にブラジルのルーラ前大統領が連邦警察に連行され、石油公社ペトロブラス社関連の汚職疑惑で供述を求められた件だ。現職のジウマ大統領も、再選を果たした14年選挙での収賄容疑で選挙高等裁判所(TSE)に訴えられている。
 その他にもグアテマラやパナマ、ボリビア、コロンビアなどで、現職や前国家元首が絡んだとされている汚職は枚挙に暇がない。
 サンパウロ総合大学研究員のアドリアン・アルバラ氏は、「ラ米諸国は民主化され、それが最も長く継続している時代にいる。この流れはもはや後戻りできない」と結んだ。民主主義強化の別の要因は情報化社会の到来だと、別の専門家は語っている。「政府はもはや、インターネット上に書き込まれる内容をコントロール出来ない」とアルバラ氏は語る。
 テイラー氏は、「汚職との戦いは『善と悪の戦い』と捉えられがちだが、連合政府内のゴタゴタが原因で、リークなどから汚職が発覚することも多い」とし、政治家の検挙には政局も影響している事を強調している。