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ルーゴとルーラの共通点=〃迫害〃か〃合法処置〃か=パラグァイ 坂本邦雄

ルーゴ元大統領からの同情の声を報じるブラジルの左派サイト。写真中の右がガン治療中(当時)のルーラ、左がルーゴ

ルーゴ元大統領からの同情の声を報じるブラジルの左派サイト。写真中の右がガン治療中(当時)のルーラ、左がルーゴ

 先日、ブラジルのPT・労働者党のルイ・ファルコン党首は、「汚職問題でルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領を不面目に連行し訊問した連邦警察の捜査行為は、ジウマ政権の土台を揺さぶる意図的な政治暴力のエスカレートだ」と強く論難した。そしてこれはPT・労働者党を犯罪化しブラジル最高の民衆リーダーを不当に攻撃する政治的迫害に他ならないと断言した。  なお、ファルコン党首は、連邦警察及び司法府はPT・労働者党を犯罪者扱いにし、報道機関や右翼野党派を煽てて、総選挙の得票結果をも歪める破廉恥な〃張本人〃なのだと当り散らした。  そして、ファルコン党首はPT・闘争運動家連に民主制下の人民主権とブラジルの最も偉才な人民主義者ルーラの威信の擁護に努めるべく呼び掛けた。  これに応じて、PT・労働者党シンパの各政党派は2003年~2010年の期間ブラジルを統治したルーラ元大統領の援護運動を宣言した。 「ルーラ迫害は自分の例に似ている」  行政不振のかどで政治弾劾により2012年6月に政権の座を追われたパラグァイのフェルナンド・ルーゴ元大統領は、この度、ペトロブラス石油公団に関わるメガ汚職疑惑で連邦警察の捜査に問われたブラジルルーラ元大統領のケースは、正に自分の身に覚えがある政治弾劾に相通じるものであると非難した。  パラグァイ国会上下両院によるルーゴ更迭の弾劾裁判は電撃的に決議され、当時の国際情勢下でメルコスールやウナスール(南米諸国同盟)の会員諸国はこれを民主主義に逆らう「国会クーデター」に他ならないと断じ、各々パラグァイの正会員国の資格を停止した。その外に、後任のフェデリコ・フランコ臨時政府を承認せず、2013年8月に現カルテス政権が就任するまでパラグァイと国交断絶の異常な処置を講じたハプニングは未だに記憶に新しい。  いわゆるルーゴ大統領の罷免事件はパラグァイ北部サンペドロ県のクルグアツー群地区に農地改革法の適用を要求する、暗にルーゴの扇動に依ったと噂される自称「土地なし農民」の国有地不法占拠集団が、その弾圧、取り締まりに出動した警察隊と衝突、重大な暴動に発展し農民11人と警官6人の死者を生じた事件が引金になったものだ。  同じ左派思想で、盟友の「ペトロロン疑惑の災難」に大いに同情するルーゴは、ルーラに対する真摯な連帯感をツイッターで表明した。  そして、『ブラジルは全ての人達の友好国であり、その名はルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァに象徴される。余は彼とブラジルの全国民に対し敬愛のアブラソ(抱擁)を送るものである』と、ルーゴは述べている。 胃が丈夫なだけでなく〃面の皮〃も厚い二人  ルーラは5日早朝に始まった連邦警察の大規模な捜査の対象になり、その豪華なマンション及び親族や関係者等の住宅とルーラが主宰する『ルーラ研究所』も立ち入り検査された。  この長い一日中、サンパウロ市内の各所とルーラのマンションの入り口の前で、ルーラ・シンパ派と反対派のデモ隊が激突を繰り返し、多くの怪我人も出た始末だった。 今回の警察の捜査行動はペトロブラス石油公団の膨大な資金流用の疑惑を糺す過程の新たな局面を示すものである。連邦検察庁当局は合同記者会見で、ルーラに関する一連の汚職疑惑の捜索資料は〃非常に重要〃な証拠書類であるのは間違いなく、元大統領はペトロブラス石油公団のメガ収賄事件に関わった人物の中で最も裨益した一人である事は疑いないと語った。  政治家にはよっぽど胃が強くないとなれないと云うが、ルーラさんもルーゴさんも胃だけではなく〃面の皮〃も大変厚いのか、両者とも「夢よもう一度」と、おのおの次期大統領戦に出馬したい意欲を燃やしているが、それを推す有権者もまた多いと云うのには呆れる。  結局は「バカに付ける薬はない」のか―どうも腑に落ちないのは筆者だけだろうか。

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