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ボウソナロ優勢のまま乗り切るか=28日、いよいよ決戦投票=思い切って占う、新政権でどう変わる!=聖市在住 駒形 秀雄

 10月7日の総選挙で新しい国会の議員は決まりましたが、大統領はボウソナロとハダジ、2候補の決戦投票(28日)になりました。
 今までの支持率調査では、ボウソナロ(PSL党)59%、ハダジ(PT党)41%という数値が続いており、あと1週間もない投票日に向けて両陣営の激しい追い込み活動が続いております。

ボウソナロ大統領候補(Foto Tânia Rêgo/Agência Brasil)

ボウソナロ大統領候補(Foto Tânia Rêgo/Agência Brasil)

 今回の大統領選挙では両候補者が正面から顔を合わせての立会い討論会という機会がなく、また、両陣営とも競合者からの逆襲・フェーク ニュースを警戒して詳しい政策をだし控えています。
 そのため、肝心の私共有権者は一体新しい政府というのはどんな人が、どんな施策を実行するのか、中々分からないというもどかしさがあります。
 特に当選確実視されているボウソナロやそのグループについては〃新しく出て来た顔〃なので、「どんな人たちなのか?」という不安が付きまといます。そこで、この辺の解明を中心に、その後の様子も含めて皆様と一緒に以下、調べてみましょう。

▼吹くか新風!「LAVA JATO ―汚れ落とし選挙」

 十数年も続いたPT(ルーラ・ジウマ)政権に国民はウンザリしていました。そして今回の選挙で〃新勢力〃ボウソナロ・PSL党の「新しい風」を選びました。
 事実、国会ではこれまでの有力党だったMDB、PSDBなどが大きく議席を減らし、逆に新人議員が過半数に近い243人も当選しました。日系のカタギリ氏、弱冠23歳―など若手や、多くの女性議員も登場です。女性議員は77人も当選して、もし女性だけで一つの党を組めば、下院では断然1位の有力党になるほどです(やっぱり女は強いねーの声)。
 私腹を肥やした汚職議員等は今回立候補出来ず、また、選挙に出た灰色議員なども多くが落選したので、これは案外、選挙民の良識が発揮された「LAVA JATO ―汚れ落とし選挙」だったとも言われています。
 さて、行政を担うボウソナロ陣営ではー「繁栄への道―CAMINHO PARA PROSPERIDADE」政権の基本政策(案)を発表しております。そのなかには―
★《行政改革》現在29ある省を半分の15省に減らす
★《税制改革》いくつもあって煩雑な税金をまとめて合理化する
★《年金改革》一旦言い出したが不評で引っ込めた
★《治安改善》をめざして軍隊と警察の関係強化――などがあります。
 このような方向性に対して行政と議会が歩調を合わせて、ブラジルに「新しい風」を吹き込んでくれるのでは、と期待されている訳です。

▼うわさの閣僚と新方針

経済大臣かといわれるパウロ・ゲーデス氏(@jairbolsonaro)

経済大臣かといわれるパウロ・ゲーデス氏(@jairbolsonaro)

 ボウソナロは、自分が軍隊育ちで経済には余り詳しくないことを自認してか、立候補のはじめの段階から「経済のことはゲーデスに任せる」と言明しておりました。では、ゲーデスとはどんな人でしょう。
★「パウロ ゲーデス」(PAULO GUEDES)氏はリオ生まれ、69歳。ゼッツリオ・バルガス大学、米国シカゴ大学経済学修士(Ph)。健全財政支持でリベラル派と見られている。証券、投資業務に従事し、PACTUAL銀行創始者の一人。大学で講座を持ち、グローボやフォーリャ紙に寄稿もしていた。
 彼が実行すると言われていた政策の一部は以下です。
★個人所得税は各人の所得が(5最低給料)以下の場合は、免税とする。
★現在の税制は同じ取り引きに複数の税がかかり、煩雑、過重である。例えばPIS、COFINS、IPI、IOFを合計すると30~40%になるが、これを一つの税に統一化、簡素化する。(工業製品についてはこの税は0・5%位に下がる)
★公社民営化・年金改革も推進すると言っていたが、批判を受けてその後言及していない。

官房長官かといわれるオニックス・ロレンゾニ連邦下議(Foto: Marcelo Camargo/Agência Brasil)

官房長官かといわれるオニックス・ロレンゾニ連邦下議(Foto: Marcelo Camargo/Agência Brasil)

★その他の省と大臣候補―大臣になりたい人は自薦、他薦でワンサと居ます。「今特定の人の名前を挙げると他の多くの人が反発するので、発表しない」とボウソナロは言っています。2省を一つの省にする案もありますが、関係者の反対が予想され、実現するかどうか、危ぶまれてもいます。以下、省庁再編の具体的アイデア。
★従来の財務省(FAZENDA)と企画省(PLANEJAMENTO)を一つにして「経済省」(ECONOMIA)に、大臣は「パウロ・ゲーデス」とする。

★官房長官(CASA CIVIL)=「オニックス・ロレンゾニ」(DEM党)連邦下議(南大河州選出)が就任するとの声高し。とにかくボウソナロの信任が厚い。但し、別の名前も挙がっている。

★教育・文化省=「スタヴロス・シャントポイロス」(ブラジル遠隔教育協会国際理事、元ヴァルガス基金運営委員)、大統領顧問、芸能、スポーツもここに統合するとの案も。

法務大臣かといわれるPSL党首代行グスターヴォ・ベビアンノ氏(Fernando Frazão/Agência Brasil)

法務大臣かといわれるPSL党首代行グスターヴォ・ベビアンノ氏(Fernando Frazão/Agência Brasil)

★保健省=ボウソナロの個人的友人、バレットス・ガン病院院長「ヘンリッキ・プラッタ氏」。
★交通・国土省=「オズワルド・フェッレイラ」陸軍予備大将。交通省と国土建設省を合併する。
★国防省=「アウグスト・ヘレノ」陸軍予備大将、ボウソナロ家と親しい。
★法務省=PSLの党首代行「グスターヴォ・ベビアノ氏」。今回の選挙戦の法律責任者。警察機能強化。

★農務・環境省=「ナブアン・ガルシア氏」。長年の友人。農牧勢に環境保護勢が圧されないか、と懸念あり。
★科学・技術省=話題づくりのためか、ブラジル人発の宇宙飛行士「マルコス・ポンテス氏」(空軍パイロット)との噂も。

科学・技術大臣かといわれるマルコス・ポンテス氏(FOTO: MARCELO LELIS/AG. PARÁ DATA: 24.10.2017 BELÉM – PARÁ)

科学・技術大臣かといわれるマルコス・ポンテス氏(FOTO: MARCELO LELIS/AG. PARÁ DATA: 24.10.2017 BELÉM – PARÁ)

▼欠かせない議会工作

 政府がいくら良い政策を立案しても、これを議会が承認してくれないと、その現実化が出来ません。政府は種々議会工作をして、法案承認に導かねばなりません。
 ボウソナロのPSL党は下院第2党と言っても僅か52議席です。法案の議会通過には更に10くらいの有力党の協力を取り付けねばなりません。ブラジル人はお山の大将が多いのか、別表の通り小党乱立、現在35党ですから、その議会工作が大変です。
 前政権ではこの工作の為に月極め協力金(メンサロン)を払ったり、政府ポストの提供など無理をしたため、結局これが命とりになったのです。
 ボウソナロはこの様な「しがらみ、悪習を断ち切る」と言ってここまで立ち上がって来たのですから、今、自分で同じ〃奥の手〃を使うことは出来ません。ここは選挙民からの信頼の票をバックに、中間各党を説得、協力を求めることになるでしょう。
 軍隊などの統制のしっかりした組織に慣れた頭としては、〃司令官が命令を出して全組織がそれに従う方式〃にしたいところでしょうが、その為には法規や憲法まで改定しないとなりません。
 その憲法を改定するには、下院の3/5(308票)、更に上院の3/5(49票)の賛成が必要なのです。日本にせよブラジルにせよ、憲法改正となるとそう簡単ではないことが分かりますね。

▼それでどうなる、われわれの生活

 「うん、状況は分かった。それでボウソナロ政権が出来たらどうなる? そして俺たちの生活はどう変わるんだ!」先の見えるご先達の催促が聞こえます。
 まだ、選挙結果も出ていない今、新政府の新方針も発表されていないこの時点で見通しを述べるのは大変難しいことです。が、綺麗ごとの選挙用宣伝を除いて本旨を言えば、およそ以下のようでないでしょうか。
★財政的には収支均衡を目ざし、経済を安定させる。国民を安心させ新規投資を促す。低下した「国への信頼」を取戻し、国外からの投資を歓迎する。
★今までの何だかダラケタ様な政治風土を変え、もとキリッと筋の通った社会にする。その為には、保安、警察機能を強化する。
 具体的にはどういうことか、ここで世情に詳しいご近所の某古河さんの意見を伺ってみましょう。曰く――
 「政治の方向が見えて来れば、今まで様子眺めだった企業家も金を出して投資を始める。市場に金が回り、生産が増えれば、一般市民の働き場も増える。失業者の多いのは構造的な問題なので、急な解消は望めないが、働き場が増えるのは社会に明るさをもたらす。ブラジルは農牧分野、鉱産資源と良い基本条件を備えている。相撲で言えば良い体格をした新弟子のようなものだ。上手く導けば大いに伸びる。それが分かる外国からの投資も増えて社会が活気づくと言うものだ」
 こうも言います。
 「ボウソナロは『悪い奴らの取り締まりを強化する。犯罪者の行き先は刑務所だ』と繰り返し言っているから、街の治安状態もいくらか良くなるのじゃないか。本当に年寄りや女子供が安心して街を歩ける世の中にして貰いたいね」
 「もう一つの皆の関心事は年金のことだろう。年金は負担する人(働いて払う人)が少ないのに、受け取る人(老人・障害者)が増えるのだから、赤字は消えない。中々解決困難な問題だ。しかしあんた達、既に年金を受け取っている人については、給付方式は今まで通りで変わらない。だから安心して良い。ただ、年金制度そのものは改革が必要で、今までの公共べったりから、保険の様な民間組織への切り替えが創出されるのでないか。いずれにしてもそれはこれからの世代のことで、あんた達は心配しなくて良いよ」
 ねー、どっちを向いても渋面、不景気、毎日同じことの繰り返しでは人間いやになってしまいます。元気の良さそうな大統領が誕生して、折角この国の明るい未来を語ってくれると言うのですから、私達もそれを信じ、POSITIVE思考で物事に対しましょう。
 もう寒い季節も終りです。ニッケイの皆さん、VAMOS! 元気を出して行きましょう。(ご感想などは==> hhkomagata@gmail.com

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