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戦々恐々とする次期大統領の最有力候補

レナン上院議長に相談ごとをするアエシオ上議=左=(Foto: Jefferson Rudy/Agência Senado, 29/09/2015)

レナン上院議長に相談ごとをするアエシオ上議=左=(Foto: Jefferson Rudy/Agência Senado, 29/09/2015)

 次期大統領選挙の最有力候補といわれるアエシオ・ネーベスPSDB党首の周辺が、だいぶ、きな臭い。テオリ・ザヴァスキ最高裁判事が24日、セルジオ・マッシャード元トランスペトロ総裁の司法取引証言を承認したため、同総裁とレナン上院議長との密談内容が詳細に報道されたからだ▼捜査状況を心配したアエシオが、レナンに《デウシジオの証言内容の中に、俺に関係するものがもっと他にないか、ちょっと見てくれないか》と相談してきたと報道された▼テーメル暫定政権発足後、マスコミによる捜査機密漏えい報道の矛先は、一気にPMDBやPSDBに向くようになった。PT側にとっては好都合な展開であり、ジウマ罷免弁護にその内容を活用し反撃を狙うようだ▼以前紹介した討論番組『ローダ・ビーバ』でデウシジオ・ド・アマラウ元上議は、「焦点はフルナスだよ。だいたいメンサロンの手法はミナス州から始まった。マルコス・ヴァレーリオがそれを首都に応用したからだ」とし、「僕はヴァーレやエレトロブラスでも役員をしていたが、ペトロロンと同じ仕組みはすでにあった」と明言。「この件に関しては次の司法取引証言でさらに詳細を伝えるつもり」と予告した▼「フルナス」とはエレトロブラス傘下最大の電力会社で、ブラジル南部から中西部、南東部を管轄。イタイプー発電所のブラジル側供給もここが管理し、国内家庭電力の半分以上を供給する。デウシジオは「フルナスは(汚職の)フィレ・ミニョン(牛ヒレステーキ)だ」と繰り返した。フルナスは18も水力発電施設を持つが、9つはミナス州内や州境にある。山岳地帯の多い同州はダムを作りやすかったようだ。フルナス汚職が捜査線上に上がってくれば、アエシオのようなミナス州出身の大物政治家逮捕は避けられないか▼26日付エスタード紙によれば、最高裁はすでにアエシオのフルナス汚職問題の捜査開始に関し、今月初めに許可を出した。「捜査」段階で尻すぼみになればいいが、「起訴」まで進めば、立派な容疑者だ。本人は戦々恐々だろう。ここまで汚職捜査が進展した最大の秘密は、司法取引証言(報奨付証言)だ▼ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の原形イタリアの「マン・リンパ(奇麗な手)作戦」は、「司法独立」「メディアとの協力」「国民の支持」の三本足で踏ん張った。幾つかの伝統政党が消滅するまでの大成果が挙げたが、メディア王ベルルスコーニの首相就任後、司法からメディアへの漏えいが難しくなり、国民からの絶大な支持が薄れ、最後は弱体化してしまったと聞く▼事実、ジウマ政権最後の法相は「捜査機密の情報漏えいの証拠がなくても、ニオイがしただけで人事入れ替えをする」と就任早々に宣言して波紋を呼んだ。新政権の法相も早々に「連邦検察庁長官を内部選挙で選ぶのは明文化された正式なやり方ではない」と大統領の人事権をチラつかせ、政治家を告発する権利を唯一持つ同長官への影響力を強めようとした。政治家は常にあの手この手を弄してLJ作戦を骨抜きにしようとしている▼こんな今だから思い出して感慨深い言葉がある。LJ作戦は14年3月に始まった。その半年後の10月14日フォーリャ紙で、あのロベルト・ジェフェルソンPTB元党首が「メンサロンは序章。いま国民は終章(ペトロブラス疑惑)を見ている」と予言していたことだ。2年前、大統領罷免まで進展すると誰が予測したか。国家中枢ぐるみの壮大すぎる汚職を描いた熱帯政治ドラマ「ブラジル狂詩曲」の次のページには、一体何が書かれているのか。(深)

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