ホーム | コラム | 樹海 | クリントン財団とインスティツート・ルーラの不思議な共通点

クリントン財団とインスティツート・ルーラの不思議な共通点

『クリントン・キャッシュ』(ピーター・シュヴァイツァー著、LUFTメディアコミュニケーション、2016年)

『クリントン・キャッシュ』(ピーター・シュヴァイツァー著、LUFTメディアコミュニケーション、2016年)

 トランプ勝利を昨年から予言していたジャーナリストに元NHK記者の木村太郎がいる。出演した番組で「なぜトランプが勝つと思ったのか?」と尋ねられ、彼は「民主党が8年間やったから、米国の慣例で次は共和党になると思った。単純でしょ。あとヒラリーは汚職、不正がひどすぎるから」と答えた▼「ヒラリーのメール問題」とよく報道にでるが、単に「個人のメールアドレスで国務長官としてのやり取りをしていた」という単純な疑惑ではない。公式メルアドでは、情報開示法により数年後に内容が公開される。公にしたくない違法なやり取りを個人メルアドでしていたことが問題だ▼どんな違法な行為をしていたか―という内容が『クリントン・キャッシュ』(ピーター・シュヴァイツァー著、2016年)で暴露され、同名の映画、マンガにもなった▼例えば、ヒラリーが国務長官だった4年間に、クリントン夫妻が運営する同名の財団へ2億5千万ドル(約270億円)もの寄付があり、夫のビル・クリントン元大統領は講演によって1千億ドル(約108億円)以上の収入があったと同映画は指摘している▼ある会社がクリントン(C)財団に大型寄付をしたり、クリントン元大統領を呼んで講演会をして巨額の講演料を払ったりすると、それに対してヒラリー国務長官が米国務省がらみで便宜を図ったという疑惑の構図をその映画は明らかにした。しかも南スーダンなどのアフリカ諸国という政情が不安定な国々からの寄付が目立つ。とはいえ、あくまで疑惑の段階だ▼同映画をみて「どこかで聞いた話だな?」という既視感を受けた。ルーラが作った「インスティツート・ルーラ」(以後IL)だ。R7サイト3月22日付電子版によれば、ルーラは2011~15年に72回の講演をし、1440万ドルの収入を得た。そのうち30回は、ラヴァ・ジャット作戦で経営者が逮捕されたゼネコンや投資銀行が依頼した。その汚職会社だけで講演料の大半にあたる1180万ドルを支払っている。最も講演依頼回数が多いのは、現在司法取引の真っ最中のオデブレヒト社。8回で毎回20万ドル、計160万ドルも払った▼15年10月2日付エポカ誌電子版によれば、オデブレヒト社が用立てた飛行機で、ルーラは13年3月に赤道ギニア共和国(1972年から独裁政権)を訪問し、副大統領と会談するなどのロビー活動をした。キューバでは、ジウマ大統領の名前をだしてBNDESの融資を間違いないとルーラが保証し、オデブレヒト社に受注させる手伝いをしたことも同誌は報じた▼C財団とILの手法はかなり類似している。ノチシア・アオ・ミヌト・サイト3月15日付記事によれば《ルーラはビル・クリントン元大統領の講演料を参考にして値段を決めた。ルーラは「我々はビル・クリントンと同じ金額をもらう。我々は彼よりもやることをやるから同等以上もらう価値がある」と語った》とある▼思えば、ヒラリーと民主党の大統領候補を争ったバーニー・サンダース上院議員は8月8日、ジウマ罷免審議に関して《選挙で選ばれた大統領が政治的に罷免されようとしている事実に、心からの不安を覚える。罷免プロセスは国家によるクーデターにみえる》とPT擁護のくちばしを挟んだ▼トランプ勝利をブラジルからの視点で考えると、ジウマ罷免とヒラリー落選という現実の底辺には、PTと民主党に通底する何かを、国民が否定した部分を感じる。ラヴァ・ジャット作戦が米国でもかなりの話題になっている背景には、C財団とILの手法の類似性がある気がする。もしルーラが有罪になれば、それが判例となって米国でも…。(深)

image_print

こちらの記事もどうぞ