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文協がポ語大作の刊行祝う=日伯の基盤強化に願い込め

刊行を喜ぶ関係者ら

刊行を喜ぶ関係者ら

 昨年の外交120周年を記念し編纂されたポ語書籍「インテルカンビオ・クルトゥラル・ブラジル・ジャポン」の刊行を記念し、文協ビルの移民史料館で17日、出版祝賀会が行なわれた。
 同書は日伯両国の更なる関係強化を願い文協から上梓された労作で、全32章からなる。文化を広義的に捉え政治、学術、体育、料理、礼儀、商工業、厚生など広範囲の日伯比較論をまとめた。最終章では両国において相互の文化がいかに浸透しているのか、いわば「共通項」として興味深い事例が紹介されている。
 式典には呉屋春美文協会長、中前隆博総領事、資金協力した宮坂国人財団の西尾ロベルト義弘理事長、飯星ワルテル連邦下議(補欠)、野村アウレリオサンパウロ市議らが出席し祝辞を送った。日系・非日系を問わず、有識者ら57人の寄稿で構成される超大作の完成に関係者ら100人以上が駆けつけ、文化交流の参考図書として期待を寄せた。
 編集委員長を務めた原田清文協評議員長は、「日本文化の継承及び普及は文協の目的の一つ。一方、ブラジル文化を日本へ普及させることは難しく、それを担う団体もない。そん中、本書を通じて豊富な知識を養ってもらえるはずだ」と意義を語る。
 また「日系社会の知が集まる文協が、どのような活動をしているのかブラジルであまり認知されていない」と心配し、「ブラジル知識人と共同編纂した本書は、日系社会の中核的機関である文協が、ブラジル社会に名を示す重要な機会」として、ブラジル向けに出版記念会を別途設定する方針を明らかにした。
 今年はテメル大統領が、11年振りに日本を公式訪問した。来年3月にはサンパウロ市で、日本政府による広報施設ジャパン・ハウスが開館を控える。またリオから東京へ五輪が引き継がれるなど、両国にとって密度の濃い時期を迎えており、「グローバル化で文化統合が進む中、相互の深い理解こそが、関係強化の基盤になるはず」と今後に期待を膨らませた。
 書籍は事務局にて一冊120レアルで販売中。問合せは文協(11・3208・1755)まで。

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