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JRパス問題=署名目標7500人達成=1万人を目指して継続=ブラジルからもっと署名を

3月12日に公開された署名国別内訳(提供=「『JRパスを考える』在外邦人の会」)

3月12日に公開された署名国別内訳(提供=「『JRパスを考える』在外邦人の会」)

 海外在住の日本国籍所有者への販売が、今月末に停止されるジャパン・レール・パス(以下JRパス)。JRグループに販売停止の再考を求め、インターネットサイトで署名活動を続ける「『JRパスを考える』在外邦人の会」の署名ページには世界中の日本人、日系人やその家族の抗議の声が増え続けている。13日には署名数が当初の目標だった7500人を超え、現在は1万人を目指し署名活動を続けている。

 「日本国籍は持っているが、住民票は日本から抜いて、現地国で税金を納めている。世界には外国で家族を持った沢山の日本人がいる。その状況で『日本人だから』パスを利用できないのは不当。私は日本人だが帰省に莫大な費用、さらに20時間以上かけて帰国する。一度帰国したら家族の為に少なくとも一週間は日本国内をガイド、通訳する。パスがないと非常に困ること、お分かりいただけますか。どうか別の解決策の検討をお願いします」(渡邊こず枝、イスラエル)
 同会の署名ページには、そんな海外在留邦人のコメントが続々と寄せられている。
 ブラジルからも「海外移住を志し、国の肝いりで移住した日系一世の帰郷の念は大きく、レールパスは大きく貢献しており、今後日系一世が減っていく中、帰郷の夢が減ることになり非常に残念。ぜひ海外在留邦人への使用継続を望む。私は在伯43年だが去年やっと訪日出来た。レールパスも使用した。この様に、一生に一度にあるかないかの訪日、夢を壊す様な事は止めて欲しい」(坂下元男、サンパウロ州モジ・ダス・クルーゼス市)というものもあった。
 ただし、署名者数7500人を達成した前日の12日、署名者数7465人の時点で同会から発表された「署名国別内訳」では、ブラジルからの署名数は297人のみ、わずか4%だった。
 2015年10月1日の外務省のデータによると、ブラジルの日本人永住者は5万573人、長期滞在者は3441人、民間企業関係者は2689人。日系人は190万人にもなると言われる。多くの日本国籍所有者が当地在住しているが、高齢者が多いこともあってインターネット上での署名活動にはつながらず、人口の割に少ない。
 同会は現在、1万人を目指し、次のサイト(http://ur0.work/CsFr)で署名を集めている。ページ左側に署名欄があり、名前、居住地、メールアドレスを記入するだけ。その後「Assinar-se」ボタンをクリックしたらおしまいだ。


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 署名者数が7500人に達した「『JRパスを考える』在外邦人の会」。主宰者の一人は「次の行動として国内外のメディアにプレスリリースを流す」ことを考えている。また、同会は1月15日にJNTO(国土交通省日本政府観光局)に嘆願書を提出した。2月13日に返信が届いたが「特例として取り扱われてきた海外在住日本人への発売終了をJRが発表したことは承知しているが、詳細についてはJRに問い合わせて欲しい」というものだった。これに対し署名者らからは「回答になっていない」と怒りの声が上がっている。
     ◎
 昨年は2400万人もの外国人観光客が日本を訪問し、その多くがJRパスを利用していると推測される。それに比べれば、ブラジルから訪日する一世の数などたがか知れている。世界の在留邦人だとそれなりに多くなるのだろうが、再三本紙でも紹介しているように「65歳以上だけには許可」とか、「東京五輪までは現状維持」とかできないものか。外国人ばかり優遇し、日本国籍者を差別するような経営方針自体、いかがなものか。日本政府のエライ人が来るたびに「日系人は宝」とかリップサービスするが、本当にそう思っているなら、こんなときこそ一言、JRに意見してほしいもの。

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