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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(6)=巨大なサントアントニオ発電所

故郷巡り一行

故郷巡り一行

 3月17日午後、サントアントニオ(SA)発電所を見学した。その際、ガイドのマウロ・バスコンセーロさんは「ここがアマゾンで最初のダム。4500万人分の電力、3568メガワッツの発電能力がある。タービンは50本あり、うち6本分の電力はロンドニア州とアクレ州で使用しているが、残りの44本分は国全体の電力システムに供給している」と説明した。
 「国全体」とは具体的にどこか、と聞くと「スドエステ(南西部)」という。つまりミナス州、サンパウロ州、リオ州、エスピリットサント州だ。さらに「送電線はアララクアラ(サンパウロ州北東部)まで行っている」とも。
 これを聞いて「なるほど…」と唸った。
 建設最大手オデブレヒト社のマルセロ社長やアンドラデ・グチエレス社幹部がラヴァ・ジャット作戦の司法取引証言(デラソン)で、「サントアントニオ発電所の建設受注を有利にしてくれた見返りに、アエシオ・ネーヴェス上院議員に5千万レアルの賄賂を払った」と証言したのがマスコミに漏えい(3月19日付フォーリャ紙)して、ちょうど話題になっていたからだ。
 調べてみると、ミナス州の電力公社FURNASがSA発電所の最大株主で39%を所有する。これならアエシオ上議が影響力を行使してもおかしくない。捜査で汚職が事実と判明すれば、PSDBから来年の大統領選に立つのはムリになる。
 こんなところからもサンパウロ州は電力の供給を受けているというのは、驚くべき事実だ。西はパラグアイ国境のイタイプー発電所、北はボリビア国境のアマゾン河上流からも電力をかき集めて潤沢に電力を消費しているのが、サンパウロ市大都市圏の恵まれた生活なのだ。
 SAダムには、パリのエッフェル塔18本分の鉄骨、マラカナン・サッカー場40個分のセメントを消費したというから巨大な建設工事だ。総工費は200億レアル。そのうちの5千万レアル(0・25%)は政治家には〃わずかな分け前〃なのだろうか。
 08年に着工、ガイドは「12年に発電を始め、この1月に完全に完成したばかり」という。調べてみると05年1月、07年9月に大停電がミナス、エスピリトサント両州を襲い、ミナス電力公社が大問題に。ルーラ大統領時代に電力不足の解決策として、SA発電所が計画された。つまり、これなくしてリオ五輪施設への電力の安定供給もむずかしかった。

背が低いダムの外観(上流側)

背が低いダムの外観(上流側)

 アマゾン地域のダムの特徴は背が低いことだ。マウロさんは「環境への影響を少なくするため、落差は14メートルしかない。通常のタービンは立っていて、落ちてくる水の勢いで羽を回すが、ここのは寝かせている」という。マデイラ川は乾期でも毎秒4千メートル立方もの豊富な水量を誇る。そんな川全体をせき止めているから、それだけの水力が得られる。
 ふと、14年に起きたマデイラ川大水害でダムは治水に役に立たなかったのかと、マウロさんに聞いた。
 「あの時は23メートルも上昇した。町も半分が水浸し、ここのダムも周囲からそのまま水が下流に流れた。自然の力にはまったくかなわない」とのこと。人間の目にはすごい巨大建造物だが、自然の脅威はケタ違いだ」。(つづく、深沢正雪記者)

 

□大耳小耳□関連コラム

 故郷巡りから帰ってきた3日目あたりから足首や太腿の当りがかゆくなった。帰ってからの取材先でマダニにでもやられたかと思っていたら、故郷巡りに参加した小山徳さんと話していて「僕も足首を刺されている」という。腫れているところを見せてもらうと、同じ症状だった。小山さん曰く「これはポルト・ヴェーリョの移住地の墓地で、アリにやられたんだと思う。他の参加者も刺されていたよ」とのこと。そういえば、あの墓地で田辺さんから「ここにはトカンデイラという小さなアリがいて、かまれたら痛いから気を付けてくださいね」と注意をうけたこと思い出した。その時、すぐに虫よけを足首に塗ったが、そんなのでは効かなかった。これも大自然の力か。

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