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ブラジル力行会の略史=百周年記念誌編纂委員会=〈3〉=古賀捷則

ブラジル力行会は「子孫の繁栄は教育にあり」とし、アルモニア学生寮建設を決議。1951年、永田稠会長の臨席のもとに、学生寮の上棟式を行なう。

ブラジル力行会は「子孫の繁栄は教育にあり」とし、アルモニア学生寮建設を決議。1951年、永田稠会長の臨席のもとに、学生寮の上棟式を行なう。

 北米の排日運動の高まりにより、在米日本人は朝鮮や満州への再移住に走る人々が増えますが、永田会長は彼らに南米への転住を勧め、井原氏のほか、輪湖俊午郎、加藤保松、野上豊、宮尾厚氏などがブラジルへ再移住しました。
 サンジョゼ・ドス・カンポスに入植した井原氏は、会員の世話をしたり力行会の体制作りに献身的に働き、周囲の厚い信頼を得て、1923年から1955年まで32年間にわたってブラジル力行会の会長を務めました。
 戦前のブラジル力行会員は、アリアンサに最も多く、北パラナ、レジストロ、やがてサンパウロ市を中心とする集団が大きくなっていきます。
 アリアンサには力行農園と渡辺農場の南米農業練習所が設置され、細川末男氏が1926年に、宮尾厚氏が1928年に、それぞれの責任者となり、日本力行会から送られてくるおよそ400人もの青年の面倒をみました。
 なかには過酷な状況に耐えられず、サンパウロ市へ出てきて、コンデ街の遠藤常八郎氏、ジャグアレの加藤保松氏、リベイロン・ピーレスの野上豊氏らの御厄介になる会員もいました。
 全ブラジルを一丸とするブラジル力行会が成立するきっかけとなったのは、終戦後のアルモニア学生寮の建設からです。それまでは、同じ釜の飯を食った仲間の親睦会が散発的に開かれる程度でした。
 1945年9月7日、戦後初めてのブラジル力行会総会が、サンパウロ市ピニェイロスの聖公会で開かれ、それから毎年開催されるようになりました。アルモニア学生寮の建設が決議されたのは、1946年の総会でしたが、日系社会における勝ち組負け組の抗争が激しく、日本人の集会を開くのは非常に危険な時期でした。
 敗戦により海外にいた軍人と民間人500万人が一度に引き揚げる、未曾有の危機のなかの日本。帰国の夢が断たれた移民は、ブラジルを定住の土地と決め、自分の骨をこの大地に埋めることを覚悟し、子供たちの将来のために教育を第一義とすることを悟ることでした。
 1947年の総会で学生寮建設委員会が発足、翌年の1948年にサンベルナルド・ド・カンポスに1万7千mの土地を購入し、1953年、「和」を掲げたアルモニア学生寮が落成しました。
 当時は移住者の経済的基盤はまだ不安定な時期で、建設資金の募金運動は簡単ではなく、井原恵作、輪湖俊午郎、野上豊、二木秀人、破魔六郎、村上真市郎、森晋平、本田慶三郎氏ら力行会リーダーの心労は言葉で言い尽くせないものでした。
 日系人初の州高等裁判所の判事となった渡辺和夫法学博士も、大学進学前にアルモニア学生寮で勉学に励んだ人のひとりです。2013年に創立60周年を祝ったアルモニア教育文化協会が経営するアルモニア学園は、400人の学生をかかえ、ブラジル地域社会とかかわりをもちながら、日本文化の継承を試みる認知度の高い学校として注目を集めています。

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