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大盛況のサンパウロ州移民祭り=50カ国のコミュニティ参加=郷土料理や芸能、民芸品

パラグアイの民族舞踊発表の様子

パラグアイの民族舞踊発表の様子

 サンパウロ州立移民博物館(Museu da Imigração do Estado de São Paulo)と州文化局が4日午前10時から、同博物館(Rua Visconde de Parnaiba, 1316, Mooca)で『第22回移民祭り』を開催している。参加した約50カ国のコミュニティーの伝統舞踊や民謡の発表、郷土料理、民芸品の販売や製作教室などが行われた。午後1時頃には入場を待つ長蛇の列ができるなど、約6千人が来場し盛況の1日目となった。

 舞台では3日間で45グループが各国の伝統衣装に身を包み舞踊や民謡を発表する。当日午後1時頃には舞台前に用意された関が全て埋まり、立ち見の人も出た。
 パラグアイ民謡と舞踊を発表した「グルッポ・フォルクローリコ・アルマ・グアラニ」は、ラテン気質を感じさせる陽気な音楽と演者の掛け声で会場の雰囲気を明るくした。カラフルな衣装に身を包んだ女性が、頭にツボを乗せ器用に踊ると歓声と拍手が起こった。
 観客席で楽しんいたオチリア・シウヴァさん(56)とシルヴィア・カニアッテさん(57)はどちらもイタリア系で、普段は旅行ガイドとして働く。「最近は不況で国内旅行の仕事ばかりだけど、ここに来ると外国のことを思い出して楽しい」と微笑んだ。
 ロシアの伝統衣装であるサラファンに身を包んだナタリア・ビッチコウフスキさん(79)、エカテリナ・プロニーニさん(72)は『グルッポ・ヴォルガ・デ・フォルクローレ・ルッソ』(ロシア民族舞踊ヴォルガ・グループ)を代表して発表。舞台を終えたばかり二人に話を聞くと、「今年も楽しかった。ロシアの文化を若者や他国の子孫の人にも伝えることができた」と話した。
 同グループには伝統舞踊と民謡のグループがあり、週1日サンパウロ市ヴィラ・ゼリーナ区のサンミゲル・アルカンジョ高校で練習を行っている。
 会場には40カ国のエスニック料理を販売するテントが並んだ。普段味わえない料理を体験しようと、各店舗にたくさんの人が並んだ。
 列が出来ていたベルギーのテントではワッフルを販売。クリームやチョコソースがかけられたワッフルを食べた石川香織さん(50、大阪府)は「とても美味しかったです」と一言。「次は中東系の国の料理に挑戦」と微笑んだ。
 他にも、各国の工芸品エリアでは、ロシアのマトリョーシカやブルガリアの陶器などの販売や制作教室、料理教室、伝統舞踊体験コーナーなどが行われ、来場者は多文化に触れる一日となった。
 同祭りは10、11日も開催され、午前10時に開場する。入場料は10レ、60歳以上の高齢者は半額となる。
 10日午後2時から天竜和太鼓の発表、午後4時から芸者の形をした栞を折り紙で作る教室が行われる。会場にはカラオケコーナーや焼きそばや寿司などの日本食を販売するテントもある。問い合わせは同博物館(11・2692・1866)まで。


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 サンパウロ州移民祭りの会場にいたイタリア系のマリアセシリア・プグリエジ・サトリさん(59)と母のルルデスさん(82)に話を聞くと、「リトアニアのキャベツとソーセージのスープと鰯のマリネを食べたが、とても美味しかった。たまにはブラジル料理以外も良い」と語った。「初めてこの祭りに参加したが、スタッフも訓練されているし場所も整備されている。たくさんの国の文化に溢れていてとても楽しい」とのこと。世界的にはEUも米国も「反移民」の方に世の中は動いているが、やっぱりブラジルは「移民大国」か。
     ◎
 サンパウロ州移民祭りで郷土料理を購入する際は、同会場内で使えるチケットをまず買う必要がある。会場内に「Caixa」と書かれた8ヵ所の換金所があるほか、チケットを持ったスタッフが「Caixa」のプラカードを掲げて歩いている。会場の地図には『$』のマークで示されている。知らないでお店で直接、現金で払おうとすると、断られるので要注意。会場はメトロのブレッセル・モッカ駅から徒歩10分。「メトロに乗って外国旅行」といえなくもないが、ブラジルに住んでいる時点ですでに異国?!

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