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「レアル・プラン」の映画が惨敗=政府の歴史的政策も制作費の1割しか売れず

 「レアル・プラン」というのは、ブラジルの歴史においてひとつの大きな分岐点となった経済政策で、その偉業は今日でも語り草になっている。だが、その誕生までの内幕を描いた映画「プラノ・レアル」は逆にブラジルの映画史上に残る大失敗になりつつある。
 1994年2月、ブラジルに新通貨「レアル」が導入された。それにより、ブラジルでそれまで続いていた慢性的なハイパー・インフレは10%以下の水準に収まり、それが結果的に、2000年代のブラジルの経済成長にもつながった。
 ところが、その内側を描いた「プラノ・レアル」は、5月の公開から現在まで、80万レアルを切る売り上げしか残していない。
 プロデューサーのリカルド・ファデル・リアン氏は今作の失敗に関し、「いろんなことが重なった」と、運の悪さを嘆いた。
 ひとつは公開が1年遅れたことだ。「せめて、この映画が昨年の全国市長選後くらいに公開されていれば」とリアン氏は嘆く。
 昨年の全国市長選は現在のテメル政権になってから最初の選挙で、テメル氏が所属する民主運動党(PMDB)と、ここ4回の大統領選で常に次点だった民主社会党(PSDB)が圧勝した選挙だ。レアル・プランは、PMDBのイタマール・フランコ氏が大統領だった時代に、財相だったPSDBのフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ氏が導入した政策だ。カルドーゾ氏はこの功績が認められ、1995年から2期8年にわたり、大統領にもなった。
 だが現在、5月17日に起きた、食肉大手JBS社の社主ジョエズレイ・バチスタ氏の報奨付供述の内容漏洩により、テメル大統領と、14年の大統領選で次点だったPSDB党首のアエシオ・ネーヴェス氏に相次いで収賄疑惑が起こり、現行犯での告発も起こりかねないほどのパニックとなった。これにより、PMDB、PSDBの党のイメージは最悪な状態となってしまっていた。
 また、もうひとつのダメージもあった。同映画が公開前に出展されたペルナンブッコ州映画祭において、7人の映画監督が「『プラノ・レアル』のエントリーを外さないと自分の作品を取り下げる」として、引き上げる事件が起きたのだ。彼らは同作を「右翼的だ」として敬遠したのだ。
 ブラジルの場合、映画や音楽の世界の人たちはほとんどが労働者党(PT)の熱心な支持者で、PSDBやカルドーゾ氏はいわば天敵の間柄だ。ましてや、PTのジウマ前大統領が副大統領だったテメル氏に裏切られ、結果的に罷免にあったことで彼らの恨みも買っていた。
 また、国民一般も、テメル政権が進める社会保障制度改革が不評で、左翼回帰傾向が再び強まっている。
 リアン氏によると、同作は7月20日からケーブル・テレビの映画チャンネルのオン・デマンド・サービス(ケーブル加入者が登録作品に対し特別料金を追加支払で見るサービス)の対象となるため、少しでも赤字の回収ができるのではないかと期待しているという。(6日付フォーリャ紙サイトより)

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