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戦禍を再び繰り返さないために

 15日が終戦記念日という事もあって、NHKが流していた第2次世界大戦(太平洋戦争)関連の番組の一部を見た▼日本軍が中国人や満州人を細菌感染の実験台にし、相当数が死んだ事や、空軍独立を願う米国将校が空爆だけで日本を降伏させれば空軍独立が叶うと考え、地方都市も爆撃、原爆投下に至った事を知り、背筋が凍った。インパール作戦は一部将校の感情を汲んだもので、3万の死者の多くは病死や餓死だったとの話には、戦争を繰り返してはならないとの思いを強くした▼弊社では今、沖縄戦の悲劇にも触れた「日本文化」第6巻の発行準備中だ。また、北朝鮮のグアム爆撃計画を知った米国が報復を誓い、ベネズエラの政治危機にも米国が軍介入を示唆するなど、きな臭い状況が続く中、平和的な解決をと改めて願わされた▼戦争が人を狂わせ、正常な判断を失わせる事は、歴史を見れば一目瞭然だ。米国でのネオナチらの集会や、それに関連する惨事に眉をひそめた人は多いが、今回の事件を最も深刻に受け止めた国の一つがドイツなのも当然だろう▼ドイツのワイツゼッカー元首相は「自らの歴史と取り組もうとしない人は、自分の現在の立場、なぜそこに居るのかが理解できない。過去を否定する人は、過去を繰り返す危険を冒している」とし、「人間は何をしかねないのか、これをわれわれは自らの歴史から学ぶ」と語った。メルケル首相も「過去を記憶していく責任」を語っているが、安倍首相は9日、「核禁止条約」批准を拒み、日本国民の期待を裏切った。米国に寄り添う姿勢は祖父の岸元首相の意向を汲んだものともいわれているが、日本が歴史に学ぶのはいつか…。(み)

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