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移民史料館=最新技術駆使した展示方式に=改装計画、資金集め呼びかけ=予算260万レアル超

 ブラジル日本移民史料館の運営委員会(森口イグナシオ忠義委員長)が11日、記者会見を開き、開館以来初めてといえそうな大型の展示改装計画を公開した。日本移民110周年記念事業、同館40周年の一環。必要な予算は260万レアル以上とされ、同委員会はスポンサーを募集するための映像を制作し、資金集めを本格化させるつもりだ。

改装案のひとつ。巨大なスクリーンに移民の歴史を映し出す。(提供:SUPERUBER)

改装案のひとつ。巨大なスクリーンに移民の歴史を映し出す。(提供:SUPERUBER)

改装案のひとつ。巨大なスクリーンに移民の歴史を映し出す。(提供:SUPERUBER)

改装案のひとつ。巨大なスクリーンに移民の歴史を映し出す。(提供:SUPERUBER)

 記者会見には森口委員長、山下リジア玲子副委員長、岩山明郎(としろう)副委員長の3人が臨み、改修計画の詳細な説明が行なわれた。
 改装計画は、老朽化した建物・設備を改修する「基礎改修」と、展示方法をより近代化にする「マルチメディア改装」に分けられる。
 「基礎改修」は次の5つ。①新しいエアコン設備の導入、②電気の配線設備の更新と消防署検査認定証の取得、③シロアリ対策、④雨漏り対策、⑤セキュリティ強化。
 30年以上前の水冷式エアコンが使用されており、故障しても交換部品すら手に入らない。電気、水道代もかさみ早急な対応を要する。
 山下副委員長は「木造部分はシロアリの被害がひどく、専門家に『10年は持たない』といわれてから既に7年が経った。最上階(9階)の雨漏りも深刻。見た目には大丈夫そうだが、すぐに改修する必要がある」とした。
 「マルチメディア改装」は、スクリーンや音響機器を設置し、日本移民の体験を再現した映像や音楽を流し、来場者が移民の心理状態を理解するのを促す。岩山副委員長は、「展示スペースに限りがあるため、映像で紹介するのは非常に効率的。展示物は残すが、映像や体験できるものを主体にしたい」と話した。
 現在、複数の業者に改装案の提案を依頼しており、今後どの業者を利用するか検討する。
 まず「基礎改修」が施され、その後「マルチメディア改装」が行なわれる予定。「基礎改修」には9カ月掛かる見込みで、全体では同館創立40周年である来年いっぱいの完了を目指す。
 全工事には総額260万レアル以上が必要とされ、スポンサーを呼びかけている。支援金額によって、その企業の歴史を史料館で紹介するなどの見返りがある。募集用映像は15日のブラジル日本商工会議所の定例昼食会で流される予定。
 歴史学を専門とするサンパウロ州立総合大学の本山省三教授をコーディネーターに据え、国立・サンパウロ州立公文書館からの資料調達、資料のデジタル化作業、展示説明文の翻訳などをする。
 森口委員長は、「日本移民は苦境を耐え、ブラジル発展に貢献した。このことを歴史に残す必要を感じている。個人や企業の方のご支援、ご賛同をいただけると幸いです」とコメントした。
 改修計画や資金援助についての問い合わせは、同館(11・3209・5465)まで。

 

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 日本移民史料館が開館したのは1978年、移民70周年の目玉事業だった。それから40年間、9階の拡充などの大型工事はあったが、7、8階に関しては展示物の大幅変更はされてこなかった。それが今回は、40年ぶりに全体の展示内容を大きく変えるという。実に意欲的な改造計画だ。これこそが110周年の目玉事業になっていいのでは。

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