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わが移民人生=おしどり来寿を迎えて=山城 勇=(59)

 会員のほとんどが家計を守る主人公なので、編集員に頼まれてもなかなか参加できず遅々と進まずなんとか2年後に発刊にこぎつけたのであった。

絆を一つにして
Atados por um forte laco
                 山城千枝子

 今日も早朝からいつもの月曜日のように家を出て一日中かけまわり、すっかり陽やけして帰って来た主人は、サーラの椅子にドカッと腰をおろしながらつぶやくのだった。
 「青年隊の人間関係は実に見事なものだ。たいしたものだ、これは是非その実情を郷里の留守家族の皆さんに報告したい」、と云うのである。
 その日はカンポ・リンポの実態調査を終えて来ての主人の話であった。あの頃だとほとんどの青年隊員が次々と子供が出来る時期なので、経済的にも苦しい生活に追われつつのお産、しかも面倒を見てくれる肉親もなく、唯、頼れるのは同じ青年隊同志の妻たちだけなのだ。

 そこで彼女たちは、全く肉親同様の姉妹の如く、お互いに代り番こで助け合ってやっている、とのことである。

 即ち相互扶助の精神、その行為、ほんとに微笑ましい限りで、ただ主人同志が青年隊という、その一つの絆に結ばれたことから生まれたもので、それを聞くや主人と二人して大変感激し、その心の結びつきに力強いものを感ずると共に深く心を打たれたのでした。
 それは、妻たる女性の一部分の話であるが、青年隊である男性側の組織する在伯沖縄青年協会もまたしかり。
 会員の団結心と相互扶助の心掛け、不遇な人には愛の手を差し延べると云った具合で、相互の共同意識が固く結ばれている点では同期の桜的気風がうかがわれる。

 そしてまた、大きな県人団体(在伯沖縄県人会、在伯沖縄文化センター)も協力的で、毎年5月1日に行われる文化センターの家族慰安運動会も青年協会共催のもとに行われる行事なのである。
 無論県人会の行事にしてもおなじく全面協力をして居ります。このようにして主人同志はやれ青年隊の何々行事とか、何か事ある毎に会合を持つので自然にその絆は固く結ばれて行くでありましょうが、妻たる私たちの方はおいそれとたやすく顔を合わす機会が得られない。

 しかし私には主人同志が青年隊であると云うことから結ばれた親しい友が何名かいる。それを誇りを持って紹介したい。

 その中の一人、Aさんとはたしか7、8カ年前からの知り合いであります。その頃Aさんは、郊外で蔬菜作りをして居り、私たち家族はフェイラにバンカを持ち野菜売りをしていました。

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