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サンパウロ市の中に凝縮される格差=平均寿命の差は24年も

 レジ・ノッサ・サンパウロが24日、サンパウロ市内の「格差地図」2017年版を発表した。サンパウロ市内の各区を38の項目で分析した結果、区別の平均寿命は最大で24年弱違う事などが判明したと24日、25日付現地紙・サイトが報じた。
 平均寿命の最長は中央部ジャルジン・パウリスタ区(JP)の79・4年、最短は極南部ジャルジン・アンジェラ区(JA)の55・7年だ。前者は市内一裕福な区、後者は市内一貧しい区でもある。両区の平均寿命の差を生む主な要因は、乳幼児死亡率や青少年死亡率の差だが、これらの差は医療の充実度や犯罪率などの差も反映する。JP住民の平均月収は3777・08レアル、1千人あたりの病床数は34・7、JA住民の平均月収は1889・36レアル、病床数は0・76だ。
 犯罪率で見ると、JPでは15~29歳の青少年が殺される事件の発生率は実質ゼロだが、JAのそれは市内で8番目に高い。青少年の殺人事件発生率実質ゼロの区は、イタイン・ビビ、モエマ、ラッパ、ヴィラ・ギリェルメ、コンソラソンなど、14区あった。
 青少年が殺される事件発生率が最も高いのは、ブラス区の10万人あたり133・45だ。同区は殺人事件発生率も10万人38・75で、市内一危険な区とされた。ブラス区は「市中央部の周辺部」ともいわれ、公共サービスの不足や外国人移住者の多さなど、23項目で上位30位以内に入った。犯罪率の高さには、ファヴェーラやコルチッソ(いわゆるスラム街)が近い(区内は0)事も関係している。
 スラム街がない区は、アウト・デ・ピニェイロスやベラ・ヴィスタ、JP、コンソラソンなど11区。逆にヴィラ・アンドラデでは50・45%の世帯がスラムに住む。カッポン・レドンドの31・52%やサコマンの28・05%も高い。
 保育園入園までに要する日数や所得の格差も大きく、カンポ・ベロ区住民の月収1万79・98レに対し、マルジラック区住民の平均月収は1287・32レだった。
 青少年用書籍数では2575・25倍、成人用書籍数では1634・06倍、病床数では1121・96倍の差が報告され、区間格差は所得、治安、文化、教育など、あらゆる面に広がっている事が明らかにされた。
 同調査では。黒人女性の若年妊娠率は非黒人より高い事や所得の差なども取り上げており、周辺部に住む黒人女性は最も深刻な格差に直面しているとの結果が出ている。