ホーム | 連載 | 2017年 | 県連故郷巡り 伯国/ポルトガル/日本=不思議な〃三角関係〃 | 県連故郷巡り=ブラジル/ポルトガル/日本=不思議な〃三角関係〃=第21回=『火宅の人』檀一雄と半年

県連故郷巡り=ブラジル/ポルトガル/日本=不思議な〃三角関係〃=第21回=『火宅の人』檀一雄と半年

リオから移った安達佐さん

リオから移った安達佐さん

 一行が到着する2週間余り前、9月4日にポルト市内に引っ越したばかりのリオ在住の戦後移民、安達佐さん(たすく、78、千葉県)に会った。1962年に最初はサンパウロに移住したが、68年からリオで商売をしていたという。
 娘婿がここで自動車産業に従事している関係で「試しに住んでみようか思ってきたが、こっちは寒すぎるね。やっぱりダメ、もう帰ろうかな」と笑う。「だってリオでは毛穴が開きっぱなしでしょう。ボクら気温40度は何ともないけど、20度より下がると寒い」。
 ポルトガルに対し、厳しい視点を持つ。「この国は大変な借金を抱え、財政破綻している。まあ、リオもそうだけど。ここには職場がない。失業率が17%だよ。リオですら15・6%、ブラジル全体なら13%」と容赦ない。「でもリオでは2日に一人、軍警が死亡している。シリア内戦より死者が多い。そんなリオに比べたら、ここは天国のように治安がいい」と冷静に比較した。
 最近ブラジルからポルトガルに移住する人が増えているというが、安達さんはその先端を行っている。
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中央が東大使、その右がフィゲレイド伯大使夫妻

中央が東大使、その右がフィゲレイド伯大使夫妻

 5日目の9月21日、アヴェイロを経てリスボンに帰着。夜は日本国大使公邸で交流夕食会。明日はもうブラジルに帰国なので、最後の晩だ。
 午後7時から交流セレモニーが始まり、東(あずま)博史駐ポルトガル日本国大使は「私が赴任した時、日本からの観光客は年間6万人だったが、去年は12万人と倍増した。今回は57人もブラジルから来てくれた。来年はブラジル日本移民110周年、こちらも日本ポルトガル交流475周年なので、三国間のさらなる関係強化、交流が活性化を図りたい」と挨拶した。
 県連の山田康夫会長は「ポルトガルは初めてだが、町が美しい、治安が良い、気候が良い。ブラジルに永住したのが間違いだったかも」と会場から爆笑を誘い、大使に歓迎会の配慮を感謝した。谷口ジョゼ県連副会長も「兄弟国でありながら、来たことなかった。とても良い機会となった」と挨拶した。
 駐ポルトガルブラジル大使ルイス・アルベルト・フィゲレイド氏も「日系人はブラジルの未来に強い影響力を持つコミュニティ。それをポルトガルで受け入れられて幸せ」と日系妻マリア・アンジェラ・イケダさんを紹介し乾杯の音頭をとった。この大使夫妻の存在自体が、深い3国関係を体現している。(つづく、深沢正雪記者)

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