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リオ州=政府の直接統治令から約40日=今も銃撃戦は日常茶飯事=7割が「状況は変わらず」

リオ市南部の州軍警特殊作戦実行部隊本部(Tania Rego/Agencia Brasil)

リオ市南部の州軍警特殊作戦実行部隊本部(Tania Rego/Agencia Brasil)

 【既報関連】2月16日にテメル大統領が治安部門に限るリオ州直接統治令を出してから、39日が経過した。
 陸軍のワルテル・ブラガ・ネット大将を執政官として、リオ州に秩序を取り戻すことを目的として掲げた直接統治令だが、リオ市内や周辺での銃撃戦は日常茶飯事で、住民の不安は払拭されない様子を25、26日付伯字各紙が報じた。
 銃撃戦の発生を知らせるアプリ、「銃撃戦はどこ?」(OTT)によると、直接統治令発令から3月15日までの27日間で、リオ市西部のシダーデ・デ・デウスでは20件、ヴィラ・ケネディでは19件の銃撃戦が発生した。北部のアレモン複合ファヴェーラでも銃撃戦は10件発生し、16日夜には1歳7カ月の子供が流れ弾で亡くなった。
 昨年9月に軍による大規模平定作戦が行われ、最近は犯罪組織同士の抗争もやや小康状態にあった南部のファヴェーラ、ロッシーニャでは、24日に軍警と犯罪組織との銃撃戦が発生し、8人が死亡した。ロッシーニャでは26日朝も銃撃戦が起き、さらに1人が死亡している。
 直接統治令発令後、最も反響が大きかった事件は、今月14日に起きたマリエーレ・フランコ・リオ市議殺害事件だ。
 OTTによると、IF発令後からの27日間でリオ市と周辺地域では354件の銃撃戦が発生した。直接統治令発令までの27日間での発生件数404件と比較すると、12・4%の減少だ。
 直接統治令実行局(GIF)は、多くの治安回復作戦が実行されており、今後数カ月以内にその効果も実感されるだろうとしている。
 しかし、令状なしで逮捕や家宅捜索できる権利(マンダード・コレチーボ)を軍に与えるよう政府が要請しても司法が認めなかったことや、スラム街の住民の顔写真を撮影しはじめたが取りやめたことで、専門家からは連邦政府は計画不足だと批判する声も出ている。
 政府は20日に、直接統治令の予算として10億レアルを拠出すると発表した。しかし、予備役軍警で、UPP(ファヴェーラに駐留する平和維持部隊)総合統括責任者のロブソン・ロドリゲス氏は、「戦略なしの10億レアルなど役に立たない」と厳しく批判している。
 今月20~22日に行われたダッタ・フォーリャの調査によると、直接統治令に賛成している人は76%で、反対の20%を大きく上回ったが、「直接統治令の発令後も状況が変わっていない」とする人が71%もいた。「改善された」は21%で、「悪化した」も6%いた。
 「今年の12月末までに状況が改善する」と答えた人は52%、「変わらない」は36%、「悪くなるだろう」は8%だった。

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