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「被爆者の記憶を残したい」=心理学研究者の中川さん

研究について話す中川さん

研究について話す中川さん

 サンパウロ市在住の心理学研究者、中川イズミ・クリスチアーネさん(36、二世)が、ブラジル在住の被爆者を探している。
 研究テーマ「被爆者のトラウマと感傷、責任と赦し、恥と名誉:証言とそのパラドックス」の集大成になるという。研究のために広島県に50日間滞在した際、100時間以上かけて13人の被爆者を調査した。その時は一日で約18時間も研究に没頭したそうだ。
 中川さんは被爆者の壮絶な経験を聞く中で、ブラジルに移民した被爆者の記録を残す必要性を感じたという。「被爆者自身も記録に残すことを望んでいる人が多い。ブラジルには100人以上の被爆者がいるはず」と語った。
 調査した被爆者の中には、放射能に関する風評被害を恐れて、最近になってようやく家族に被爆経験を伝えた人や、家族を作らずに孤独に暮らす人もいたそうだ。
 「日系人でも原爆の記録や被爆者の経験を知っている人は少ない。泣きながら話す人や、話さずに死にたくないと訴える人もいた。10年後に話を聞ける被爆者はいなくなってしまうだろう。これは広く知らせ、残さなければならない記憶」と執筆の理由を語った。
 問合せは、中川さん(11・98293・4864/cristiane.izumi@gmail.com)まで。

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