ホーム | 日系社会ニュース | グァタパラ養鶏場今週まで=柿の最終出荷分が損害に

グァタパラ養鶏場今週まで=柿の最終出荷分が損害に

各地の日系養鶏場が危機に晒されている

各地の日系養鶏場が危機に晒されている

 サンパウロ州のグァタパラ農業組合長の斉藤長一(ちょういち)さん(58、山口県)によると、組合員の養鶏場が一番問題としているのは餌に混ぜるカルシウム栄養素の不足だという。
 「ミナス州からの仕入れが止まり、今週一杯持つかどうか。卵殻の硬度を上げる栄養素のため、それがないと売り物になる卵ができない」と困惑している。
 同移住地内に玉蜀黍農場があるため、当面飼料には困っていない。卵の出荷は同移住地から50~60キロ範囲で、自前で輸送するため、卵が養鶏場内に溜まることはないという。
 しかし、ストが今週一杯続けば、前述の理由で卵の質が下がり販売できなくなる…。
 斉藤組合長は火曜午前に移住地全体の養鶏場運営者と会議を行い、サンパウロ市の養鶏協会に文書を送ることを決定。農務省にも各自で文書を送る。
 斉藤さんは同移住地の様子に「見たことないほど静かになった」と驚き、「ブラジルで色んなことを味わったけど、こんなことは初めて。上の人間が『やめろ』って言うのに下の人間が騒ぎ続けている。ブラジルは大変なところだね」と呆れた様子。

グァタパラ移住地の会館

グァタパラ移住地の会館

 聖南西のサンミゲル・アルカンジョ市のコロニア・ピニャールでぶどうと柿を栽培している山下治さん(82、福岡県)は「ちょうど今作物が少ない時期なので良かった」と胸をなでおろす。出荷時期の渋柿は持つので待つことができるそうだ。
 「でも街にはガソリンもディーゼルもなく、スクールバスの運行が止まって学校も休み。ストが今週終わっても、田舎だから後回しになるだろう。街が動き始めるのは来週になるのでは」と説明した。
 ピエダーデ益田農場の益田照夫農場主(76、愛媛県)は、「明日は出荷できる。でも木曜日にCEAGESPと、孫のところに最後の柿を持っていきたかった」と残念そうに語った。柿の生産時期が終わりを迎えていたため大きな被害はないという。
 市内のガソリンがなくなって出荷は止まったものの、農家が多いピエダーデだけに町のスーパーには青果などの生産物が並んでいるそうだ。

日系生産者による柿

日系生産者による柿

 「これから出荷が止まった分を、生産者がどうやって立て直すかだね。こんなに広い範囲に被害が出たのは初めて。政府が少ない金をじゃんじゃん使うからだよ。その出費を最後に負担するのはいつも民間人だ」と不満を語った。
 同じく柿を生産するピラール・ド・スル市の伊藤正男さん(77、二世)は、「出荷が完全に止まってしまった。近くの町に無料で渡しているが何百箱とダメになってしまった」と残念そうに語った。
 先週の金曜日には出荷先が生産物を取りに来なくなってしまった。「明日からトラックが動くという話が出ているので、今は出荷できるよう準備中」と期待している。

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