ホーム | 日系社会ニュース | 特別座談会=四世ビザはどうあるべきか?=日伯交流の将来担う人材育成の枠組みとして=(5)

特別座談会=四世ビザはどうあるべきか?=日伯交流の将来担う人材育成の枠組みとして=(5)

三世ビザはサンパウロ総領館でしか発行されない問題を報じた2000年2月15日付本紙記事

三世ビザはサンパウロ総領館でしか発行されない問題を報じた2000年2月15日付本紙記事

【永井】90年代にデカセギブームが起きた頃とは違って、今のブラジルの日系人には誰かしら日本で暮らした経験のある知り合いがいます。SNSを通じた口コミもすごいですし、すでに、悪い派遣会社には人が集まらなくなって自然と淘汰されるような構造があると思います。
 リーマンショックから2015年くらいまでの訪日就労者が低迷していた時期に、悪質な業者はほとんど淘汰されてしまいました。ここのところのブームでまた悪質な業者が出てくる可能性もありますが、私はむしろ雇用主がサポーターになることで待遇の悪い就労先に縛られるようなことにならないか懸念しています。
【深沢】なるほど、たしかにそうですね。その他、下地議員の話を聞いて、どんなことを考えられましたか?
【永井】下地先生は非常に丁寧に制度の趣旨を説明してくださっていたと思います。ただ、4千人の上限まで来て欲しいという話がありましたが、制度と実際の四世の方の需要や状況との間のミスマッチがとても大きいので、この条件で日本に行ける四世の方が果たして何人いるか心配になりました。

▼N4という要件は必要か?

【深沢】ところでパトリシアさんは三世?
【島野】はい。日本生まれの四世はたくさんいるんですよね。日本の永住ビザを取得していない在日の四世もたくさんいる。まずは、そういう日本国内にすでにいる人材をもっと大切にして、支援した方が良いと思います。
【深沢】日本生まれの四世が、二十歳過ぎて親の扶養を離れたらどうなるんですか?
【永井】そのまま延長が出来るんです。
【深沢】日本にいる限りは延長ができる?
【永井】就労も出来ますよ。
【深沢】日本にい続けるかぎりは―。
【永井】更新も、再入国許可をもらって一時帰国することも出来る。たしか再入国許可は最大5年ですかね。もしくは空港から出るときにみなし再入国からチェックして、1年以内で戻るか、ちゃんと手続きして5年以内に戻るかということで、ブラジルで生活することも可能です。
【深沢】例えば、親はブラジルに帰っちゃっても未成年の四世の子供だけ居続けることはできるんですか?
【永井】その点は大いに問題がありました。四世がもう大人になっていたらいいわけですが、子供の間に親が帰っちゃった場合の手続きっていうのが、以前は出来なかった。はっきりしたルールがないために、本人の希望に関わらずブラジルに帰国せざるを得なかったんです。在学中の日系四世に対し、引き続き日本で暮らすことを認める通達が出たのは2016年1月5日です。
【深沢】最近ですね。
【永井】だからリーマンショックの頃に、日本で育って日本語しか話せないから「ブラジルに帰りたくない」って言う高校生の子とかが、親が帰国を決めたので一緒に戻らないといけない事例が一杯起きた。
 当時は子どもだけが残ることはできなかったので。今は改善されましたが、いま新しく帰ってくる人ってあんまりいないので、そういう問題は新しく発生しているわけではないんです。
【深沢】今回の四世ビザは「ブラジルにいったん帰ってきたけど、また日本に戻りたい」って言う人に対して「手を差し伸べてます」みたいな感じで日本政府は言ってますね。
【永井】ただ、本当にそういう制度になるためには、「何年間まで」という年次制限があったらまずいんですよね。「日本に住みたい」わけですから。
【深沢】2、3年間ではないですよね。
【永井】最初にN4(日本語4級)が必要ですし、住んでいる間に3級をとらないと更新が出来ない。いまのところ最長5年になってしまっている。そのまま住み続けることができるかどうかについては「追って検討」ということになっていて、はっきりしてない。だから、そういう人にとって使いにくい壁になっちゃってますよね。
【島野】第一、日本でサポーターがいないと、最初のビザが発給されない用件が入っている。
【深沢】そうそう。永井さんのコラム「三世ビザ問題」(4月14日付、http://bit.ly/2Ot5hOf)を読んだときに、四世ビザでもそっくりな図式だと思いました。
 三世ビザですら日本側の保証人になる人がいないと取れない。それなら、保証人と同じ様なサポーターを要件にしている四世ビザも取れないじゃないかと思った。
【永井】サンパウロ総領事館管轄以外では、三世ビザの申請には日本側の保証人が必要とされるので、それが難しくて事実上、申請する人はごく少ない。しかも保証人は親戚じゃないとダメで、入国管理局で面倒な手続をして「在留資格認定証明書」という書類を取ってもらわないといけない。それが免除されているのは、在サンパウロ総領事館管内だけ。
 逆に言えば、サンパウロに住んでいれば日本に手続をしてくれる親戚がいなくてもいいんですけど、その代わりに雇用契約書がいるんですよね。それがある種、問題になっている。
 だって、ビザ申請に雇用契約書の提出が必要だから、結果的にみな派遣会社を通さなくてはいけない。なかなか個人で日本の会社と雇用契約を結ぶことは難しいじゃないですか。(つづく)

image_print

こちらの記事もどうぞ