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特別寄稿=麻薬撲滅に向け取締まり強化=米国の麻薬調査報告書が警告=パラグァイ在住  坂本邦雄

麻薬取り締まりに力を入れるマリオ・アブド・ベニテス大統領(Kremlin.ru)

 パラグァイの麻薬密売及び資金洗浄に関する、最近のアメリカ当局の壊滅的な報告書によれば、同国における諸般の犯罪行為の元凶は、汚職、法的免責、空域管理の欠如や検察局と国家警察それぞれの麻薬取締に対する不充分な予算にあると言う。
 同じく、国境線の脆弱なコントロールや多額な為替送金の監視不備、それに怠慢で圧倒的に未熟な又は腐敗役職員等の罪が指摘されている。
 件の、2019年度の「国際麻薬管理戦略レポート」は、従来の各政権の麻薬密売や資金洗浄の取締対策の努力を認めてはいる。だが、パラグァイは西半球の諸国中、依然として最大の麻薬(マリファナ)の生産地である以外に、汚職の君臨と当局の管理不足や無能力の為、アンデスコカイン密輸の常習的経過国に挙げられている。
 同レポートは、「国際組織犯罪網は当局の汚職と法的免責のお陰により、麻薬密売やその他の違法行為に断然と加担している。しかし、去る8月15日に就任したマリオ・アブド・ベニテス大統領とその政府は、決然と麻薬密輸団の活動取締りを強化する意志を示している」と述べている。
 合衆国政府は、同じく麻薬取引の大物逮捕や中央銀行と資金洗浄予防機関をも巻き込んだ、パラグァイの国際資金洗浄対策基準の設定に関わるイニシアチブと努力を評価している。
 なお、同レポートはSENABICO=没収・差押資産国家管理事務局の創設と当該予算の付与も特筆している。

▼特記される前検察総局長のケース

 国務省の同レポートは、不法に私腹を肥やした廉で拘束された、ハヴィエル・ディアス・ヴェロン前検察総局長の件を特記している。
 同レポートは、かつて思うがままに権力を振るった前検察総局長の投獄に触れ、現在は同じ罪を問われる、セルヴァ・モリニゴ夫人と共に、自宅謹慎中のハプニングに注目しているものである。
 パラグァイはアメリカにおいて資金洗浄罪に問われる2人の検束、提訴3件、及び前検察総局長を含む付加38ケースの拘禁を行なったと記述している。

▼クチョ及び政友

 麻薬密輸のボスの一人、レイナルド・カバニャス(別名クチョ)の逮捕も、米国の目を引いた。
 ただし、今の米当局はパラグァイ政府の依然として高い汚職度を問題視している。このカバニャスは、目下休暇中の与党派下院議員ウリセス・キンターナを政治協力者にしていた。
 ちなみに、この“政友 ”も麻薬関係の問題で拘束されているのだ。
 しかしながら、同レポートはパラグァイ当局は現在、国内の麻薬消費率は増加傾向にあると認めていると言う。
 しかして、多国籍組織犯罪機構は麻薬密売やその他の違法行為を、汚職及び法的免責に護られて大いに発展しているのだと報告している。

▼外貨両替所及びカジーノ

 合衆国政府にとって、パラグァイでの資金洗浄をより容易ならしめる、汚職官吏の加担の下に経営される、多くの商館の存在は甚だ安心ならぬ事象である。
 件のレポートは、無登記の無数の外貨両替所が在る事に言及している。
 偽名による商業登記、輸出入業及び所謂カジーノの不完全な管理や規制を挙げ、脆弱な国境コントロール、多数の無能或いは研修不足の腐敗官吏が、レバノンや中国への多額の外貨送金を、不充分な監督の下に行わせているのだ。

▼デエクレシス一族の麻薬荷物

 国務省の同レポートは、国家麻薬管理局=SENADによる、2012年来最大の麻薬押収貨物となった、昨年10月末の没収コカイン448キロに触れている。
 この件は、サンペドロ出身の与党上院議員フレディ・デエクレシス(Freddy D´Ecclesiis)の兄弟夫妻が一族の農場の飛行場で持参の同コカインを押収された問題であるが、なぜかデエクレシス上院議員当人は、証拠不足と言う事で逮捕されていない。
 国の多くの闇飛行場の存在は、空域管理の不足に原因するものだと、国務省の国会宛ての同レポートは指摘している。

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