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《リオデジャネイロ市》兵士たちが市民の車を強盗と誤認、80発の銃弾打ち込む

「いっそのこと、夫と一緒に死にたかった」と嘆く被害者の妻(Tania Rego / Ag.Brasil)

 リオ市北部グアダルーペで7日午後、陸軍兵士たちが犯罪者の車と誤認し、一般市民が乗る乗用車に80発以上の銃撃を浴びせ、運転していた音楽家のエヴァウド・ローザ・ドス・サントスさんが死亡、義父のセルジオ・アラウージョさんら2人も負傷する事件が発生。翌8日には10人の兵士が逮捕されたと、8、9日付現地各紙・サイトが報じた。

 ドス・サントスさんは家族と共に出産前祝いのパーティーに行く途中、グアダルーペで発生した強盗犯を追っていた軍警とすれ違った。目撃証言によると、兵士らは検問を行っていたわけでも、ドス・サントスさんの車に停止命令を出したわけでもなかった。

 強盗犯と車の色が同じだったというだけでドス・サントスさんの車を犯人の車と誤認した兵士たちは、警告も出さず、いきなり銃弾の雨を降らせた。ドス・サントスさんは背中に3発の弾を受け、ハンドルに寄りかかるように倒れこんだ。助手席に乗っていたアラウージョさんも負傷し、病院に運ばれたが、状態は安定している。

 後部座席には、妻のルシアナ・ノゲイラさんと息子のダヴィ君、夫妻の友人の計3人が乗っていたが、怪我はなかった。

 銃撃は車が停まっても止まなかった。その中をルシアナさん、ミシェッレさん、ダヴィ君は命からがら、這って車から出た。近隣住民が3人を助けたが、その内の1人のルシアノ・マセドさんは重傷を負い、入院中だ。

 ルシアナさんは8日、現地マスコミに囲まれながら、「兵士たちは銃撃をやめなかった。私は手を頭に当てて、夫を撃たないでと必死に頼んだけど、兵士たちは何もしてくれなかった」と語った。ルシアナさんはさらに、「撃ちながら彼らは笑っていた。『人殺し』と叫んでもニヤニヤ私たちをからかってきた」としている。

 7日の事件当初、陸軍の東部司令部は、「兵士たちは犯罪者たちから攻撃されて、反撃した」と発表したが、捜査や証言とつじつまが合わなくなり、後になってそれを覆した。

 陸軍司令部は8日、12人の兵士が事件に関与していたとし、内10人を現行犯逮捕したと発表した。事件の捜査や裁判は軍法廷が担当する。

 社会的不平等の解消、多様性尊重問題に取り組む非政府組織、宗教研究所(Iser)の調査員ペドロ・ストロンゼンベルギ氏によると、「犯罪者である、兵士にとっての脅威になるとの確信もないままに80発もの銃弾を浴びせるのは暴挙としか言いようがない」と語っている。

 また、事件に関与した兵士らの名前は公開されておらず、担当弁護士もわかっていない。

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