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《ブラジル》コメディアンの毒舌に実刑判決=女性議員からの訴訟で約7カ月

 テレビの人気司会者でコメディアンのダニーロ・ジェンチーリが10日、女性下院議員からの訴訟で敗訴し、約7カ月の実刑判決を言い渡され、話題を呼んでいる。
 事の発端は、2016年5月、ジェンチーリがツイッターで、女性の権利擁護運動で有名な政治家で、大臣経験もあるマリア・ド・ロザリオ下議(労働者党)について、「そういえば彼女がかつて、シャンピーニャの擁護をしたことがあったな」と書いたことだった。シャンピーニャとは2003年に、16歳の強姦殺人者として話題を呼んだ犯罪者のことだ。
 このジェンチーリのツイートは事実無根の上、このツイート以降、脅迫めいた嫌がらせを受けるようになったとして、ロザリオ氏はツイートの取り下げを申し出たがジェンチーリは無視。そこで法廷に訴えることになった。
 だが17年5月、ジェンチーリは自宅にロザリオ氏からの訴訟の資料が届いたことを笑い話にし、訴訟資料を破り、自身の履いていた下着の中に入れた動画を一般公開した。これにより訴状はさらに重いものとなった。
 今回の裁判でサンパウロ州第5地裁のマリア・イザベル・ド・プラード判事は、ロザリオ氏が脅迫を受けるようになった事実と、ジェンチーリの動画での態度を問題視し、6カ月と28日の実刑判決を言い渡した。
 現在、ブラジルの深夜のトーク番組司会者としては1、2位を争う人気のジェンチーリだけに、この判決後の反響は大きかった。
 同じく人気コメディアンのファビオ・ポルシャは、「あの動画の内容は悪趣味極まりないけど、でも、実刑判決を下すというのはあまりに厳しく、逆に表現の自由への危機を感じる」と語っている。
 この件に関しては、ジャイール・ボウソナロ大統領もジェンチーリを擁護している。同大統領は下院議員時代、ロザリオ氏と議員会館で口論となり、「レイプの価値もない女」と罵倒したことで訴えられ、最高裁で有罪になりそうになった過去がある。
 また、ジェンチーリは保守の論客として知られ、ボウソナロ氏を熱心に支援していたことでも知られている。
 だが、今回の判決は左翼側の論客コメディアンにも評判が悪い。その代表格のグレゴリオ・デュヴィディエは、「人の気持ちを害するということが、刑法上の罪にまで発展するというのは嘆かわしいことだ」と語っている。
 ベテラン・コメディアンでジェンチーリと共演経験のあるマルセロ・タスは、「政治家には裁判特権があるけど、コメディアンにはそんなものはない」として不公平だと訴えている。だが「ダニーロが今回やったことに関しては擁護するようなものじゃないね」と味方もしなかった。
 ジェンチーリは翌11日も、リオ選出の下院議員で急進左派の社会主義自由党のマルセロ・フレイショ氏に対しても2万レアルを支払うことを命じる判決を受けた。これは、ジェンチーリがフレイショ氏のことを、「泥棒で男性優位主義者で、女性に暴力をふるい、ブラック・ブロックスや殺人者のリーダーだ」とツイートし、フレイショ氏から10万レアルの罰金を求められていたものだ。

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