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アマゾン基金=ドイツが資金拠出差し止め=知事達は支援先探しに奔走中

パラー州で摘発された違法伐採の現場(Ronan Frias Semas)

 【既報関連】ボルソナロ政権が法定アマゾンの森林伐採増加への警告を否定するのに躍起になる中、ドイツの環境相が10日、アマゾン基金用資金3500万ユーロ(1億5千万レアル)の差し止めを発表した。
 他方、同基金に申請したプロジェクトが止まったままとなった州の知事達は、資金確保のため、国際的な資金提供者を探して奔走していると11~12日付現地紙、サイトが報じた。
 アマゾン基金は、法定アマゾンの違法伐採撲滅や持続可能な開発のためのプロジェクト支援などのため、07年に創設された。基金の9割はドイツとノルウエーからの寄付が占め、運営は社会経済開発銀行(BNDES)が担当していた。
 だが、ボルソナロ政権は2月、基金が正しく使われているかを詳細に調べると通達。政府はその後、基金運用で不正が見つかったとし、昨年承認されたプロジェクトへの資金利用許可や、今年申請されたプロジェクトの分析や承認作業を完全に止めた。ただし、発見されたという不正の内容は公表されていない。
 このような中で発生したのが、国立宇宙研究所(Inpe)による法定アマゾンの森林伐採データ公表とそれに対する批判、所長の解任だ。Inpeのデータは環境省が毎年発表する公式データではない。だが、国際機関も信頼する解析度の高いもので、伐採拡大は内外で批判されている。
 ドイツの資金差し止めは伐採増なら資金減額との合意故だが、連邦政府がブラジル駐在のノルウエーやドイツの大使にアマゾン基金の用途変更を申し入れた事や、資金利用許可が止まった事とも関係がある。
 両国の代表者はここ数週間、基金からの資金停止でプロジェクトが動かなくなった州の政府関係者と、連邦政府を通さずに資金を提供する方法などの検討を重ねていた。基金が支援していたプロジェクトの6割は州政府関連のもので、現場が一番困っているからだ。
 会談の実の一つは、ドイツの開発銀行KFWから、森林伐採削減、環境許可の厳格化、監視体制強化などのための資金、1250万ユーロ(5520万レアル)を確保したパラー州だ。同州はノルウエーとも交渉を行う意向だ。
 ボルソナロ大統領は「ブラジルはドイツからの金など必要ない」と強がっているが、アマゾナス、マット・グロッソ両州も同様の交渉を行っている事を認めている。

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