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日本式とブラジル式の排斥、どちらがいい?

マリエーレ氏の未亡人、モニカ氏(Brasil/Agência Brasil)

 「誰かが、誰かを排斥する」。これは現在の日本やブラジルのみならず、どこの国でも何かしら行なわれているものだ。その対象が国によっては「移民」になるであろうし、どこの国もその意味ではモラル上の問題を抱えている▼ただ、自分の生活の問題上、日本とブラジルで展開されている「排斥行為」は、性格が全く違うものの、やはり見ていてどうしても気になるし、共に「かなり度が過ぎたもの」としてコラム子には映る▼日本に関して言えば、最近の韓国との対立と、それに伴うヘイトの問題だ。これに関しては、「韓国側が日本に対してどうなのか」ということはある。それでも遠くブラジルからの視点で見て、今日の日本で行なわれている、公衆の目の前でのヘイト・スピーチやら、出版社が嫌韓を煽るなどという光景を見ると、「これ、ブラジルでは起こらないよ」と、狐につままれたような気分にどうしてもなってしまう▼ブラジルの現在の大統領は、先日のアマゾンの森林火災の対応ぶりが問題視され、世界的に有名となったボウソナロ氏だ。だが、彼が大統領になったところで、サンパウロ市のパウリスタ大通りやリオのシネランジアで同性愛者や少数人種に対してのヘイト集会などは行なわれていない。理由は簡単だ。そんなことをすれば、憲法の「人種差別」に抵触するからだ。そもそもが、レストランの店員が黒人少年に差別的な扱いをしただけで解雇もありえるような国だ。それがヘイトの集会なら、最悪な場合、主催者はかなりの罰金を科される事は必至で、最悪の場合、実刑もありえる▼ボウソナロ氏がいかに自身の嫌悪を煽ってみたところで、最近では左翼叩きですら国全体のムードとして盛り上がらないのが現状。それを考えると、世の「嫌韓ムード」が政権支持率の上昇にまでつながる現在の日本の感覚は、どんな理由があれ、コラム子には理解するのが難しい。日本でも、人種差別を罰した法律はあるはずなのだが、毅然と「それは良くない」と大手マスコミや司法界が言えないところも、日本とブラジルも含む欧米諸国との差になって出ている気がする▼だが、ブラジルの右翼の排斥行為は、それとは別の次元で大いに問題だ。それは、彼らにいったん火がついた場合の、おさえられない暴力的感情の爆発だ。それは主に、左翼の側で誰かが「英雄」的な扱いをされた場合の妬みで起こることが多い。それは、昨年3月に射殺された「ファヴェーラの自由と平等の闘士」だった同性愛者の黒人女性、マリエーレ・フランコ元リオ市議や、ブラジルのLGBT界のリーダー的存在のジャン・ウイリス元下院議員、「ヴァザ・ジャット報道」のジャーナリスト、グレン・グリーンウォルド氏など。主にネット上の中傷からはじまるが、やがてエスカレート。たとえば、マリエーレ氏の未亡人をはじめとした遺族はいまだに嫌がらせや死亡予告を受け、ウイリス氏は暗殺を恐れ国外逃亡。グレン氏は講演中にロケット花火をステージに向けて発射された▼最近では、リオ市長が検閲的な回収に動いたゲイのキス・シーンの掲載された漫画を一人で買占め、無料で配布した人気ユーチューバーのフェリペ・ネット。彼も殺人予告を受け、母親を国外に逃亡させる憂き目にあっている。さらに言ってしまえば、こうした行為を、ボウソナロ大統領の三人の息子たちがむしろ煽っていることこそ大いに問題だ▼日常的に差別や排斥的な行為を目や耳にする環境の方が良いか。あるいは、日常的にそうした行為はそれほど見ないが、いざ攻撃対象が見つかれば、ストーキングや死の威嚇も辞さない暴力が溢れる方が良いか。もちろん、どちらも良いわけがない。こうしたことが低調となり、気をもまずに済むようになるのはいつの日か。(陽)

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