ホーム | Free | スザノ市=世界初?! 小学校で相撲教育=市立6校が親善大会15日に=非日系ブラジル人200人

スザノ市=世界初?! 小学校で相撲教育=市立6校が親善大会15日に=非日系ブラジル人200人

開会式で選手宣誓

 サンパウロ州スザノ市(ロドリゴ・アシウチ市長)は相撲教育部(ルシアナ・ワタナベ部長)を創設、7年前から小学校児童200人を対象に相撲普及に取り組んできた。公立小学生を対象とした相撲部設置は、日本を含めて世界初ということもあり、昨年からJICA(国際協力機構)がボランティアの飯田浩之教師を派遣、スザノ市の相撲プロジェクトを強化した。そのかいあって、先の全伯相撲大会では女子チームが万年連続優勝のスドエステ(聖南西)文化スポーツ連盟(大瀧多喜夫相撲部長)を下し、下本八郎ブラジル相撲連盟名誉会長寄贈の「ブラジル女子相撲大会優勝旗」を手にした。

女子チームが全伯初優勝

 9月15日午前10時からスザノ市サンベルナルディノ区のルイ・フェレイラ・ギマランエス小学校で、『第7回スザノ市立小学校相撲親善大会』が行われた。相撲部のある同市公立6校の対抗試合だ。今大会では、7月21日にサンパウロ市ボン・レチーロ区の常設土俵で行われた全伯大会のスザノ女子チーム総合優勝も同時に祝った。
 日系人が一人もいない非日系ブラジル人児童たちが土俵正面に整然と並び、ブラジル語で選手宣誓、開会した。

スザノ市長

 日系のアシウチ市長は開会あいさつで「全伯大会優勝おめでとう。スザノ市役所相撲部役員、JICAの飯田先生、ブラジル相撲連盟役員の皆さんありがとうございました」と感謝した。
 森和弘・元副市長は「〝礼に始まり、礼に終わる〟相撲を取ることによって、日本の良い習慣がブラジルに広まることを願う」と相撲普及の意義を述べ、ロータリー・インターナショナルのガヴァナーだった国際経験から、「たとえ300年かかっても」ブラジル文化が先進国並みにレベルアップすることを願った。

ルシアナ部長

 全伯女子相撲チャンピオンでブラジル代表選手でもあるスザノ市相撲教育部のルシアナ部長は「ブラジルに女子相撲が導入されて以来、全伯大会の女子総合優勝はすべてスドエステ(聖南西)チームに持って行かれていた。それがJICAの飯田先生の指導のおかげで、今年は念願の優勝がかないました。夢のようです」と喜びいっぱいにあいさつした。会場に飾られた「全伯女子相撲大会優勝旗」は下本八郎ブラジル相撲連盟名誉会長によって2015年に寄贈されたもの。
 ブラジル相撲連盟の木本忠昭・副会長は「女子相撲の世界大会決勝でルシアナが日本の選手と対戦した時は、日本の応援団以外は会場全員がルシアナを応援していました。国際舞台に立った感激が、スザノ市の相撲部設立につながったと思う」と記者に説明した。

大浦文雄氏「スザノ史を画す出来事」

 スザノ市の歴史資料収集をして9月22日に「生き字引(Memória Viva)」として表彰される95歳の大浦文雄・元汎スザノ文化体育協会理事長は「スザノ市が相撲プロジェクトを推進しているとは知らなかった。日本古来の神事であり武道でもある相撲に取り組むことは、スザノ史の時代を画する出来事だ。女生徒がまわしを付けて相撲を取っても、別に違和感はなかった。黒人の男子選手の中に、一人だけそんきょの姿勢を取った時、目の付け所が定まっている選手がいた。将来性があると思う」とスザノ市の相撲取り組みに感激し、相撲の普及発展に期待した。

飯田教師

 日本学生相撲の優勝経験があるJICA派遣の飯田教師は「最初はつかみ合いだけだったが、この一年で子供たちの《礼に始まり、礼に終わる》という相撲の型ができてきた。すり足もできるようになり、また、勝負を最後まで〝あきらめない〟ようになってきた。日本でも中学校以上なら相撲部があるが、小学校レベルで相撲部があるのは世界でもスザノ市だけではないかと思う。ルシアナ部長の熱意が通じて相撲部ができたのでしょう」と評価し、「もっと大事な事として、子供たちには〝土俵には神様がいるから、草履で上がってはいけない〟と注意し、土俵が汚れたら掃除をするようにと、技術だけではなく精神面での指導もしている」と記者に指導内容を説明した。

下本八郎氏「女子相撲が20年でブラジルに根付いた」

 パラー州ベレンで行われたアマゾン日本移民90周年記念祭に出席するのために同大会に出席できなかった下本八郎ブラジル相撲連盟名誉会長は、「女子相撲は1999年に私が男女平等思想に基づいてブラジルに導入した。20年にして女子相撲がブラジルに根付いたという感じがする。日本伝統の礼儀のスポーツがブラジルに普及し、ブラジルのためになることは私の政治家(サンパウロ州議員6期24年)としての信条でもあった」と喜びのメッセージを送った。

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