ホーム | Free | 特集=日本政府支援事業「サンパウロ日伯援護協会」コロナ感染防止キャンペーン=パンデミックで光る回復力=日系企業にコロナ対策を聞く=自動車の製造、販売 ブラジルトヨタ社=コロナ禍超える取り組み開始=モビリティサービスKINTO

特集=日本政府支援事業「サンパウロ日伯援護協会」コロナ感染防止キャンペーン=パンデミックで光る回復力=日系企業にコロナ対策を聞く=自動車の製造、販売 ブラジルトヨタ社=コロナ禍超える取り組み開始=モビリティサービスKINTO

 ブラジルで事業を行う日系企業に「新型コロナウイルス感染防止対策」を聞く第5回目は、ブラジルトヨタ社に話を聞いた。同社は、インダイアツーバ、ソロカバ、ポルトフェリス、サンベルナルド・ド・カンポの4都市に生産拠点があり、5千人以上の従業員が働いている。2020年にはパンデミックがピークを迎える中、レンタカーやフリート(車両)管理などの新サービスを提供するモビリティ会社KINTOブラジル社も設立した。

従業員と取引先の安全、地域社会への貢献

 同社の優先事項は、常に従業員の安全と事業を行っている社会の幸福である。パンデミックに入ってからは、地域社会への貢献に加え、取引先など多くの関係者の新型コロナ感染防止が優先事項に加えられた。
 そして、2020年には以下の措置が取られた。
★事務職の従業員にリモートワークを採用。
★3月20日から6月22日まで、インダイアツーバ、ポルトフェリス、サンベルナルド・ド・カンポの工場、6月25日までソロカバの工場を一時的に閉鎖。
★事業を展開している4都市(インダイアツーバ、ソロカバ、ポルトフェリス、サンベルナルド・ド・カンポ)の市役所に、救急車に使用できる4台のハイラックス車両を寄付。
★サンパウロ州政府へ3万本のアルコールジェルを寄付。
★事業を行っている都市で25トンの食料を寄付。
★2万8千枚の布製マスクを寄付。その内8千枚は、ブラジルトヨタ基金のパートナーである裁縫協同組合によって生産された。

トヨタ生産方式で呼吸器メンテナンス

 同社はサンパウロ州内各地の病院で、COVID―19のための約4千台の呼吸器をメンテナンスする11企業の一つになった。これは、全国工業職業訓練機関(SENAI)が主導して、メンテナンスを行うボランティアを訓練した。このプロジェクトの目標を達成するために、運用効率の向上を目指すトヨタ生産方式(TPS)を活用した労務・生産コンサルティングを行った。
 メンテナンス作業はブラジル保健省の安全衛生基準に従い、ソロカバ工場に設けられた専用スペースで、12人の従業員のチームによって実施された。2020年3月から7月にかけて受け取った合計51台の内、修理した呼吸器26台がサンパウロの病院に届けられた。

社員を社会的孤立から守る

 すべてのディーラーは、ブラジル保健省やWHOなどのガイドラインに従い、握手や抱擁などを回避し、店舗ではマスクを着用、従業員と顧客にはアルコールジェルを提供し、フロアは入念に清掃を行って衛生管理が強化された。
 オフィスでは、パンデミックで工場閉鎖になると同時に、全従業員がリモートワークで仕事ができるように調整された。そして、今年9月20日から、週1〜2回の出社と在宅勤務のハイブリッドワークモデル(対面+リモート)の試用期間を開始した。
 工場内には、従業員の体温を測定するための赤外線カメラを設置し、3密を防ぐ環境を整備、生産再開時には心理的なサポートを行った。
 リモートワークによる従業員の社会的孤立を防ぐため、社内のコミュニケーションを強化して心身の健康を確認し、2020年6月から現在まで、様々なテーマで90以上のオンライン会議を開催した。

リモートによるサービス戦略

 ディーラーでは、混雑による商談中の感染拡大を防ぐため、リモートによる顧客の好みに合わせたサービス戦略が採用された。そのため、対面での応対が必要でも、急を要さないサービスは延期するか、行政のガイドラインの規準を満たす最寄りの販売店で予約するように願い出る措置が講じられた。
 パンデミックの影響で、同社のネットワーク全体がデジタル化プロセスを加速させ、ウェブサイトを通じたオンライン販売が奨励された。顧客は製品情報にアクセスし、興味のある車両をピックアップし、正確なバージョン、色、アクセサリー、支払い方法を申込書に記入した後、最適な販売店を選ぶと、短時間で連絡が届く。パンデミックのピーク時には、トヨタのネットワークの82%がオンライン販売で稼働していた。

新しいモビリティサービスKINTO

 2020年7月に設立されたKINTOブラジル社は、変化する社会に新しいモビリティサービスを提供する会社である。個人や企業にレンタカーやフリート(車両)管理などのサービスを行う。KINTOは「西遊記」の孫悟空が自由自在に操る筋斗雲に由来し、必要な時にすぐに現れ、用が済んだらすぐに消える、デジタル化時代の安全性と利便性を象徴する社名である。
 KINTOブラジル社は「KINTO Share」「KINTO One Fleet」「KINTO One Personal」の3事業で構成されている。
 「KINTO Share」は、スマートフォンにダウンロードしたアプリによって利用できる車両のシェアサービスだ。2020年7月の立ち上げ以来、既に3万2千人の登録ユーザーがおり、45の販売店で1日1万3千人以上の予約を受け付けている。
 「KINTO One Fleet」は、企業のフリート管理に重点を置いたシステムで、従業員や商品を効率的かつ安全に移動し、車両を資産として固定する必要がない。現在、ブラジル全土で850以上の顧客がいる。
 「KINTO One Personal」はサブスクリプションサービス(定額料金を支払って利用するサービスのこと)で、12カ月または24カ月で契約し、トヨタの車両を利用できる。日割りの追加料を払えば、別の車種も利用できるというユニークなサービスである。

自動車産業が直面した困難からの克服

カローラクロス

 2021年3月、同社はブラジルで電動自動車の販売における重要な一歩を踏み出した。その切り口となったのがカローラクロスの販売で、ブラジルではハイブリッドフレックス技術を搭載した2番目のモデルである。
 この新しい中型SUVは、同社がブラジル市場でこの技術にかけていることを強く表し、2025年までに国内で販売される全てのトヨタの車に同技術を搭載することを目指す。 
 ソロカバの工場で生産されたカローラクロスは、3月から9月にかけて2万3900台以上が販売され、今年9月までに7300台以上が購入された。これはブラジルの電動自動車市場の58%を占め、国内の電動自動車のリーダーとしての地位を確固としている。
 また、2022年1月からトヨタのブラジル最大のソロカバ工場で、3交代勤務の実施を発表した。それに先立ち、11月29日から24時間操業を開始する。シフトの見直しはカローラクロスの売れ行きが好調であることも後押しし、同社の年間生産量を現在の12万2千台から15万8千台まで30%増加させた。さらに、新しいシフトのために550人が新規雇用されることになった。
 これらはCOVID―19による原料の不足など、世界の自動車産業が直面した困難を克服する、同社のレジリエンス(回復力)を物語っている。
【取材協力】ブラジル日本商工会議所


ブラジルトヨタ社の新しい事務所

★ブラジルトヨタ社(Toyota do Brasil)
 トヨタ自動車株式会社の中南米諸国に設立された初の現地法人として、1959年にブラジルで本格的な生産を開始した。【公式サイト】www.toyota.com.br

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