ボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)とパウロ・ゲデス経済相は5日、行政改革と財政改革諸案を含む憲法補足法案(PEC)を連邦上院議会に提出した。6日付現地各紙が報じている。
改革案は、「連邦政府機構改革」「財政緊急事態対応」「公的ファンド関連」の三つのPECに分けて出された。
今年2月に社会保障制度改革案のPECを提出したとき同様、ボルソナロ大統領は、ゲデス経済相やオニキス・ロレンゾーニ官房長官らと共に議会に赴き、改正案を議長に直接手渡した。大統領は「来年早々、長く見積もっても来年中旬にはこれらの法案が成立するだろう」と語り、早期成立に自信を見せた。
ゲデス経済相はPEC提出後に、「これらのPECは、国家をより強くするための信条の下に練られた。国家資源を中央から地方へまわす試みは、過去40年間のブラジル政権において初めて」と語った。提案書を受け取ったダヴィ・アルコルンブレ上院議長(民主党・DEM)は、PEC審議に優先的に日程を割くことは認めたが、議会審議でより練り上げていくことも必要とした。
「連邦政府機構改革PEC」では、「大統領、両院議長、最高裁長官、連邦会計検査院(TCU)代表と、州知事、各市市長などからなる財政評議会(CFR)の設立と、TCUの権限強化を目指す。連邦政府、州政府から各市レベルにいたるまでの公共財政の健全化を促進する狙いだ。
同PECではさらに、「人口が5千人未満で、税収が歳入全体の1割に満たない市は、他の市と合併させる」意向だ。ブラジルには現在5570の市があり、22・5%の1253市がこの条件に当てあまるという。これらの市の住民総数は421万人に上る。
また、同PECと2番目の「財政緊急事態対応PEC」では、「連邦政府、州政府、各市が財政緊急事態を宣言すると、公務員の労働時間と給与を25%削ることができる」と定められている。また、財政緊急事態宣言の際は、給与調整や新たなポストの創設、新規採用などが禁じられる。
3番目の「公的ファンド関連PEC」では、労働者支援基金(FAT)に代表される全281の公的支援基金の内、資金の動きがない248基金を廃止し、2200億レアルを浮かせ、国家負債の解消にあてる意向だ。
ただし、これらのPECは、10月下旬に成立した社会保障制度改革PECと同様、上下両院で、議員定数の60%以上の賛成を2回ずつ得なければならない。
議会内に頼れる支持基盤のないボルソナロ政権は賛成票の取りまとめに苦労することが予想されている。議員たちの歓心を得るため、最初の「連邦政府機構改革PEC」には、「ブレ・サル油田採掘により発生するはずの利益から、向こう15年間にわたって総額4千億レアルを、州、市などの地方自治体に還元する」の文言も盛り込まれた。